京都大学理学研究科附属天文台を中心とする研究グループは、すばる望遠鏡を用いて、スペクトルの詳細な分析を行うことで、太陽とそっくりな星があることを発見した。
太陽で起こる「フレア」と呼ばれる現象は、黒点に蓄えられた磁場のエネルギーが一気に放出される爆発現象で、この時、太陽から大量の粒子が放出される。大きなフレアで放出された物質が地球磁気圏に衝突・侵入すると、巨大な磁気嵐を引き起こし、通信システム障害や大規模な停電など、生活にも大きな影響があることが知られている。
研究グループは、米国の太陽系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータを独自に解析し、太陽で観測された最大級フレアのさらに100~1000倍のエネルギーを解放する「スーパーフレア」を、太陽と似ている星(太陽型星)が起こすことを発見した。しかし、これらの星が太陽と本当にそっくりと言えるかどうかを明らかにするには、さらに詳しい観測が必要だった。
今回研究グループは、すばる望遠鏡を用いて、これらの星を観測し、そのスペクトルの詳細な分析を行ったところ、太陽とそっくりな星があることを発見した。この結果は、太陽でも、莫大なエネルギーが放出される「スーパーフレア」現象が起こる可能性を示すもの。
研究チームは今後、すばる望遠鏡に加えて、京都大学を中心に現在開発を進めている3.8メートル望遠鏡を使って、さらに詳細にスーパーフレア星の性質や長期的な活動性の変化を調査する予定。
これらの研究により、巨大なフレアが起こる条件や兆候についての知見が得られれば、太陽活動による人類社会への被害を防ぐことにつながると期待されている。