【アクセラ開発者への10の質問】Q2.アクセラの開発における優先順位は?

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マツダ・アクセラ スポーツ 1.5L MT
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  • マツダ・アクセラ開発主査の児玉眞也氏
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マツダが2013年11月21日に発売した新型『アクセラ』。発売から4ヶ月での受注台数は2万5000台を超える好調振りを見せている。

同社の"SKYACTIV TECHNOLOGY"や“i-ACTIVSENSE”を搭載し、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドと3種類のパワートレインをラインナップ。さらに、新世代カーコネクティビティシステム“マツダコネクト”を採用した新型アクセラの誕生秘話と魅力を探るべく、開発陣に「10の質問」を行った。

Q2.アクセラの開発における優先順位は?
A2.まずはドライビングポジションを重視。初期段階から各エンジニアが集まり、バランスの良い開発を実現した


このところ日本市場において輸入車の攻勢が著しい。特にCセグメントは国内外から魅力的なクルマが揃い、競争が激化している。安全性や先進技術においては、日本の自動車メーカーよりも海外メーカーの方が大胆に踏み込んでいる感もある。それに対して、マツダはアクセラでどう挑んでいくのか。アクセラの三大要素とも言うべき安全性、走りの楽しさ、環境性能をどうバランスさせたのか、開発主査の児玉眞也氏に尋ねてみた。

「アクセラの開発でまず重視したのは、ドライビングポジションです。これはマツダのプロアクティブセーフティという考えに基づいています。まずは普通の運転状態をドライバーが安全に運転出来て、正しい認知判断が出来るようにする。その上で、ドライバーが気付きにくい見えないところをミリ波レーダーなどのi-ACTIVSENSEでフォローしてあげて、いよいよ衝突が避けられない状態になってしまったら、スカイアクティブボディで乗員を守りましょう、という風に段階的な安全性能を提供しています」。

まずは基本構造、キャビンのレイアウトを運転や走行に最適なものにすべき。レーダー、レーザーセンサーによる自動ブレーキなどの安全装備は、実際の運転時の確実性、ドライバー自身が事故を回避出来る環境を後回しにして装備を充実させても意味がないだろう。

「ドライバーの姿勢が捩じれた状態では、とっさの時に正確な判断ができないという研究データをNASAが公表しています。理想としているドライビングポジションは、無重力状態で無意識にとる姿勢なんですよ」(児玉氏)。

アクセラを運転して感じることの一つが、ドライビングシートの角度。お尻を包み込むような、少し尻下がりの傾斜が印象的だ。充実したアジャスト機能を誇るシートもいいが、ユーザーが何となく決めた角度が運転にベストである確率は、それほど高くない。自動車メーカーが正しい運転姿勢を推奨してこそ、ドライバーは安全に快適に、ドライビングが楽しめる習慣を得られるのだ。

「シートの座面もそうですが、ペダルの角度も考え抜いて決めています。足の甲を動かす時の筋肉が釣り合っている状態が、一番無理がなくて次の動作に自然に入れるんです。ウチではこれを“快適関節リンク角”と呼んでいます」(児玉氏)。

ペダル配置やその角度については、余りにも自然すぎて指摘されても実感することはなかった。だがこのストレスのない姿勢が、とっさの判断だけでなく、いつものドライビングをより正確にしてくれるのだろう。それによってクルマとの一体感が自然と高まるし、疲労も少ないハズだ。

けれどもアクセラに乗って感じるのは、そんなポジションの自然さだけではない。ハンドリングと乗り心地、デザインや装備などほとんどの要素でレベルが高い。全体として非常にバランスが高いと感じるのだ。これを実現したのは、どんな手段だったのか。スカイアクティブという概念だけでは、今一つハッキリと見えてこない。具体的には今までのクルマ作りと何が違うのだろう。

「それぞれの領域で目標を定めて開発して、それをまとめていく、というのが従来の方法でした。例えば安全面だけを満足出来る性能を考えて、その実現を目指します。しかし快適性、操縦安定性といったように担当ごとにある程度開発しても、持ち寄ったら辻褄が合わないので、また自分の部署に持って帰ってやり直し。それを繰り返して徐々にカタチにしていったのが、従来のやり方です。今は最初に各担当のエンジニアが集まって、それぞれの理想点を出し合って、それをいっぺんに一緒に考えています。各機能、安全性、ボディ剛性、構造、快適とか…色々あるんですが、それをどう両立させるかを、みんなで考えるんです。さらにデザインや生産技術部門も入ってもらって、最適な製造方法まで考えてもらいました」(児玉氏)。

「全部が満足できるところを見つけ出すんです」と、児玉氏は言う。しかし、児玉氏が説明したこの開発アプローチは優れていると思う反面、開発の初期段階からたくさんの要素を均衡させる必要がある。イメージとして、すごくハードルが高いのでは、と想像してしまった。

「基本的な構造が出来るまでは時間がかかります。でもそこまでできれば、そこからは速い。今までと比べると圧倒的に手戻りが少ないんです。トータルで見ると開発時間も短くなりますから、非常に効率的でした」(児玉氏)。

結果的に開発のスピードが上がる。「しかも、これまでよりもいいモノができるんです」…頷きながらそう言った児玉氏の言葉に、新しいアクセラを紡ぎ出した自信を感じた。
《高根英幸》

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