京都産業大学の研究者を中心とする研究チームは、すばる望遠鏡の高分散分光装置(HDS)を用いてアイソン彗星を観測し、単独の彗星としては世界で初めて15NH2(アミノ・ラジカルの窒素同位体)の検出に成功した。
15NH2は、彗星に含まれる窒素の主な担い手である、アンモニア分子の由来を知る上で手がかりとなる物質。
今回の観測結果により、単独の彗星もアンモニア分子の窒素同位体比は、太陽や地球大気の値に比べて「15Nがより多く濃集している」ことが明らかになった。
また、分子雲環境との比較によって、今回の観測結果は、彗星に含まれているアンモニア分子が、低温度の星間塵表面で形成されたことを示唆している。加えて、研究結果は、彗星に取り込まれたアンモニア分子の形成温度(約10ケルビン)は従来考えられていた温度(約30ケルビン)より低いことを示唆しており、太陽系形成期の温度環境について再検討を迫る成果となったとしている。
今回の研究成果は、2月20日に発行された米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に掲載された。