【BMW 428i ラグジュアリー 試乗】高級パーソナルクーペとしてバランスの高い仕上がり…高根英幸

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BMW 428i ラグジュアリー
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先代まで『3シリーズクーペ』と呼ばれたモデルが、今回から『4シリーズ』と呼ばれるようになったのは概報の通り。したがってその構成は3シリーズクーペ同様、3シリーズセダンと共通イメージのフロントマスクに長いボンネットと短めのキャビンを組み合わせた優雅なシルエットに仕立てられている。ボディサイズが大きくなったこともあって、先代よりもグンと高級感を増している印象だ。

428iラグジュアリーのパワーユニットは、2リットル直列4気筒ターボでもチューニングを高めた仕様でNAの2.8リットルエンジン並みのパワーと、ターボならではの幅広いトルクバンドが持ち味。

走り出すといかにも効率のいいATによる、滑らかでロスの少ない駆動力が心地よい加速感を身体に伝えてくる。

4気筒でもやはりBMWらしく、スムーズさはピカイチ。BMWの4気筒ディーゼルが一般的なガソリン4気筒エンジンのフィールに近い感触なら、このガソリン直噴はさらにそれを上回る、V6エンジン並みのスムーズさだ。それに加えてトルクバンドの広さは乗りやすく、クルマの動きも反応がいいのでストレスを感じさせない。

ステアリングの応答は実に繊細でシャープ。しかしリヤタイヤは落ち着いていて、旋回の中心がリヤ寄りなのでロングノーズなGTらしい動きを楽しむことができる。これはE92よりも洗練されつつも先祖返りしたようなテイストで、いかにもBMW伝統の2ドアクーペらしい乗り味が受け継がれていることに、何だか懐かしくもあり、安心した気がした。

足を前方に伸ばした低い着座姿勢と高さを抑えたクーペらしい室内空間も、ドライビングの気分を盛り上げる。

サスペンションは電子制御のダンパーを採用しているため、走る状況に応じて乗り心地を選択出来る。シフトレバー隣にあるスイッチによってコンフォートとスポーツ、さらにはより快適性重視のコンフォートプラスやよりスポーツ性重視のスポーツプラスまで選べる。また、より燃費性能を高めるエコプロモードもある。

スポーツを選ぶとダンパーだけでなく、ATのシフトタイミングや電子スロットルの反応、さらにはパワーステアリングのアシストまで変わるのだが、コンフォートと比べ、スポーツモードでのステアリングが極端に重くなるのは気になった。ここまで違いを付ける必要も無いのではと思うし、素性が良いシャーシはダンパーで無理に踏ん張らせる必要などないから、コンフォートの設定でも十分によく曲がるし速い。

ともあれパーソナルなクーペで高速を長距離移動、なんて乗り方ならこのクルマは絶好の1台だろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

高根英幸|自動車&工業技術評論家(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
芝浦工大機械工学部卒。トヨタ直営ディーラーの営業、輸入車専門誌の編集者を経てフリーの自動車ライターに。クルマのメカニズムすべてに興味をもち、旧車からハイテクまで納得いくまで解析。ドライビングだけでなくメンテナンスやモディファイも自ら積極的に楽しむ。自宅1Fの書斎兼ガレージには整備用リフトも完備。

《高根英幸》

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