マツダはクロスオーバーSUV『CX-5』を一部改良し10月17日から発売した。
先日行われた改良モデルの試乗会において、ドライブトレイン開発部 ドライブライン開発グループの八木康氏に、CX-5に搭載された4WDシステムについての話を伺うことができた。TVCMでは”どんな道でも、人とクルマは、ひとつになれる。”と謳うその4WDシステム。いったいどのようなシステムなのであろうか。
まず同氏はCX-5の4WDを正しく理解してもらいたいと話した。「CX-5の4WDは、不安定な路面状況においても、安心して人馬一体の走る喜びを提供しながら、2WDに迫る実用燃費を達成することを目標に開発を行いました。世間では、電子制御の”なんちゃって”4WDであるとか、他社メーカーには劣るだとか、前輪が滑ってから4WDになる生活4駆だという風に思われていますが、それは違います」と言う。
ではどのようなシステムなのか。キーとなるのは「前輪スリップ予兆検知システム」である。これは、車体の速度と前輪の速度を高精度で検知することで、スリップする予兆をクルマが察知し、ドライバーがスリップに気付く前に後輪のトルクを増大させるものである。
もう1つのキーが、タイムラグがゼロのトルク制御システム。これは、燃費に影響しないほどのごくわずかなトルクを後輪に予めかけておくことで、後輪にトルクをかけた際のレスポンスを向上させるシステムだ。
これらのシステムを使い、刻々と変化する路面状況とドライバーの運転意図をクルマ側が検知することで、後輪のトルクを2WD相当から直結4WD相当までコントロールしエネルギーロスを細小にするのがマツダの4WDシステムなのである。
同氏は最後に「今回の改良では4WDシステムの変更は行っていません。2年前に発表した時と同じシステムです。技術者としてそれだけこのシステムに自信があります。ぜひ本当の雪道などで体験していただきたい」と述べていた。