【第3回鉄道技術展】注目の新型ホームドア、それぞれの利点や開発意図は

鉄道 テクノロジー

ドア位置の異なる車両に対応した「戸袋移動形」や「昇降式」といった新型が相次いで実証試験を開始し、注目を集めるホームドア。11月6日~8日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「第3回鉄道技術展」でも、新型のホームドアに関する展示は注目を集めていた。

ホームドアは転落事故などの防止に高い効果が期待できるものの、コストやドア位置の異なる車両に対応できない点が普及への課題となっている。これらの問題に対応した新タイプの実証試験が国交省の鉄道技術開発費補助金による支援で行われており、8月31日から西武新宿線の新所沢駅で戸袋移動形ホームドア「どこでも柵」(東大生産技術研究所と神戸製鋼所の共同開発)、10月11日から東急田園都市線のつきみ野駅で昇降ロープ式(日本信号が開発)、同27日から相鉄いずみ野線の弥生台駅で昇降バー式(高見沢サイバネティックスが開発)と、首都圏の3駅でそれぞれ異なるタイプが試行されている。また、これらとは別にJR西日本も、同社が開発した昇降ロープ式ホーム柵を12月から試行運用すると発表している。

「鉄道技術展」にはこれら首都圏3駅で試行されている新型ホームドアの開発メーカーのうち、タイプの異なる昇降式を開発した日本信号と高見沢サイバネティックスが出展、両社とも実際に動作するデモ機を展示してそれぞれに利点をPRしていた。また、今のところ駅での実証試験は行われていないが、三菱重工のブースでも、三菱重工交通機器エンジニアリングが開発したドア位置の異なる車両に対応する横開き式の新型ホームドア「どこでもドア」を映像で紹介していた。

日本信号の昇降式は、門形の柱の間にステンレス製のワイヤーロープを張り、昇降させて柵とする方式。ワイヤーロープは複数本が組になったものが2段に設置され、一般的なホームドアとほぼ同じ高さをカバーする。特徴は大きな開口幅が可能なことで、展示のデモ機は開口幅5mだったが、最大で10mまで可能という。一般的な全長20mの電車であれば10m幅の2台で1両分をまかなうことができ、設置台数を少なくできるほか、ドアごとではなく1両全体をカバーするため、ドア数や位置が異なる車両にも対応できる。

高見沢サイバネティックスの昇降式は、強化プラスチック(FRP)製のバー(棒)3本を昇降させる。バーを使用する利点は「たわみ量が少ないこと」。万が一車椅子などが衝突した場合でも、強度の高いバーの場合はたわんで列車側に張り出す危険がなく、ホームの端ぎりぎりに設置可能なため狭いホームにも向いているという。ドア数や位置の異なる車両には、開口幅の異なる柵を組み合わせることで対応できる。また、筐体が軽量で現地組み立てが可能なため、駅のエレベーターなどを使っての搬入が可能という。

一方、三菱重工交通機器エンジニアリングの「どこでもドア」は従来と同じ横開き式のホームドア。だが、1本の支柱に2枚のドアを互い違いに組み込み、車両のドア位置に合わせて開閉させることで2~4扉車に対応することができる仕組みだ。展示は映像のみだったが、ブース担当者の説明では支柱は幅39cm、奥行き20cmと小型で、ドアはポリカーボネートを挟み込んだ積層ガラスを使用し、ドアと支柱を合わせた1ユニットの重さは220kgと軽量化を図っているという。担当者は「動きを(戸袋移動や昇降式などのように)従来のホームドアと大きく変えることなく、ドア位置の異なる車両に対応する」システムとして開発したと話していた。

ホームドアの普及はなかなか進んでいないように見える。だが、視点を変えれば「今の方式で取り付けられる駅にはほぼ取り付けられてしまった(あるメーカー担当者)」という見方もできるようだ。安全対策に高い効果があるとされる一方で、電車の停車時間が長くなるといったデメリットも指摘されるホームドア。今後どのような方式が主流となっていくのか、さらに新技術の開発競争が進むのか、駅施設に関する技術の中でも特に今後の動きが注目される分野の一つであることは間違いないだろう。
《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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