今回のITS世界会議では、EVの提案もそこここに見られた。すでにITSを利用した実証実験中のEVバスを東芝と日立が展示していた。
そして意外なクルマもお目見えしていたのだ。それは最高出力1000psを誇るEVスーパースポーツ。
これはスペインの自動車開発を請け負う会社IDIADAが作り上げたもので、四輪それぞれをモーターが駆動する4WD。鋼管チューブラーフレームにカーボンファイバーのスキンを組み合わせることで、バッテリーが重いEVながらも1700kgと比較的軽量に仕上げている。さらに充電も800V、200Aの大電流を使うことにより15分から20分で完了するそうだ。
と言ってもこのスーパースポーツ、ブース内に大きく写真が掲げられていただけで、残念ながら実車はお目見えすることはなかった。それでも、同社が企画から設計、デザイン、開発までのすべてを行ったデモンストレーションとして、自動車関連企業にアピールするには十分な作品だろう。
ちなみにIDIADAはスペイン政府からの援助も受けている実績のある企業で、世界中の拠点に1600人のエンジニアを抱えて、自動車メーカーからの開発や認証作業を委託している。パワートレーンやサスペンション以外にも車両全体を開発するためのあらゆる設備をもつほか、バルセロナには広大なテストコースも備えているのだ。日本の自動車メーカーも様々な形でIDIADAと関わっているというから、さしずめ縁の下の力持ちといった存在と言えそうだ。ITS分野においてもソリューションを提案している。
それにしても、このEVスーパースポーツをどこかのメーカーに丸ごと提供して、市販化して欲しいと思うのは筆者だけではあるまい。