【東京国際航空宇宙産業展】三菱重工のロケット商業打ち上げへの取り組みとは

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【東京国際航空宇宙産業展】三菱重工のロケット商業打ち上げへの取り組みとは
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2013年10月2日から4日まで東京ビッグサイトで開催された東京国際航空宇宙展 ASET2013。

三菱重工業から、防衛・宇宙ドメイン宇宙事業部 宇宙システム技術部 渥美正博氏が登壇し「基幹ロケットの現状と将来への期待」と題して講演を行った。

先日、カナダの衛星通信事業者から初の商業衛星打ち上げを受注した三菱重工は、現在の基幹ロケット『H-IIA/B』までの開発史に触れた。今回、カナダ・テレサット社からの信頼を得た理由として、三菱重工はH-IIA/Bロケットでは、2005年以降、天候以外の原因で打ち上げ遅延がほとんど起きていない「オンタイム性」を挙げている。

予定通りの日時で打ち上げが可能になった改革の一例として、「SV100作戦(スペースバルブ 良品化100%作戦)」と名付けられた社内の改善策を紹介した。ロケットエンジンの主要部品のひとつであるバルブを設計から製造まで徹底して改良し、不具合を取り除いたという。他にもエンジンのノズルスカート部、衛星を保護するロケット先端のフェアリング、アビオニクスなどの部分で不断の改良を行っているとのことだ。

こうした努力を続けてロケットの信頼性を高め、商業衛星打ち上げについて「引き合いの数は増えてきた」としている。とはいえ、現在はまだ静止商業衛星打ち上げ実績がないアメリカ・スペースX社のファルコン9ロケットが次々と受注を獲得していることに触れ、「技術的信頼だけでマーケットは動かない」と商業市場で戦う困難についても述べた。

今回、テレサット社へは、これから打ち上げ実証を行う高度化H-IIAロケットの能力を強く推して受注につなげた。今後は、打ち上げ準備期間を現在の18か月から3か月に短縮するなど商業市場の要望に応えていくとしている。海外宇宙輸送業が打ち出している「いつでも、どんな軌道でも」と同様のアピールを行って商業市場を切り開いていくとの考えだ。

《秋山 文野》

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