"本家"レンジローバーとイヴォークの間に開いた、大きな狭間の真ん中を狙う。
そんなコンセプトから生まれた新しいレンジローバー スポーツは、特にインテリアではいかにも"レンジの作品"らしい上質さをアピールしながらも、その走りのダイナミズムでは「目を見張るアップグレードぶり」が印象的な1台だった。
日本導入が予定をされるのは、5リットル8気筒と3リットル6気筒の、共にスーパーチャージャー付き直噴エンジン搭載仕様。そんな"本家と同様の心臓"を大幅に軽いボディと組み合わせるのだから、その動力性能が強力なものとなるのは当然予想された事柄だ。
いざ蓋を開けてみれば、それは強力というよりももはや”強烈”。特に、8気筒モデルでは0-100km/h加速を5.3秒でこなすというのだから、これはもう文句なく立派な「一級スポーツカーの水準」だ。
英国で開催された試乗会では、例によって「とんでもない悪路」が待ち構えていたが、それがいかにこのモデルのために用意されたコースであったとはいえ、徒歩でも踏破するのが困難という急坂路や、常識的には絶対進入しようなどとは思わないはずの深い川渡りなどを、外に立つインストラクターの誘導を受けつつも全く問題なく次々こなすタフネスぶりには本当に舌を巻いた。
一方で、舗装されたハイスピードコーナーをたいしたロールも伴わず安定してクリアするといった、オンロードでのポテンシャルの高さにも目を見張る事に。「ポルシェ『カイエン』も凄いけれど、”オフ”ではウチが圧倒的だからね!」と、自慢げに語るそんな開発陣のコメントが、何とも印象に残るものだった。
そんな今度のレンジローバー スポーツは、3列目シートの設定があるのもニュースのひとつ。トップモデルのレンジローバー、ベースモデルのイヴォークと共に、これで新生レンジ・ファミリーがひとまず完成だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
河村康彦
1960年生まれ。自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ・ケイマンS、スマート・フォーツー、VWルポGTI(ドイツ置き去り…)