【次世代 中国トヨタ 2013】サービス部門にもタブレット導入、品質向上と作業の効率化を両立

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次世代e-CRBでは情報をタブレットでやりとりすることにより、サービスのレセプションカウンターからテクニシャンまでの情報伝達が迅速になったという
  • 次世代e-CRBでは情報をタブレットでやりとりすることにより、サービスのレセプションカウンターからテクニシャンまでの情報伝達が迅速になったという
  • 次世代e-CRBでは情報をタブレットでやりとりすることにより、サービスのレセプションカウンターからテクニシャンまでの情報伝達が迅速になったという
  • 以前は伝票のやりとりによる煩雑さがあった
  • 広汽トヨタ第一店のサービス向上
  • ストールにも各1個タブレットが設置される
  • ストールに設置されたタブレット
  • 作業開始からの時間が表示される
  • ストールに設置されたタブレット
広汽トヨタ第一店では、セールスだけでなく、アフターサービスについても、iPadの導入によって大幅なワークフローの改善が行われている。結果、広汽トヨタ・第一店は、設備から働き方まで、さらなる大きな変化を遂げることになった。

ここでは、サービス部門に絞って、次世代e-CRB導入による変化の形をお伝えしていこう。

◆紙との戦いをなくせ! iPad活用でサービス事務をシンプル化

広汽トヨタ第一店のサービス部門に行くと、気づくことがある。なにしろ紙伝票の類いがほとんどないのだ。

車のサービス業務は紙との戦い。顧客への説明から同意書、サービス作業の指示書からパーツの発注まで、伝票での指示が基本だ。

だが、次世代e-CRBを導入した広汽トヨタ第一店には紙がない。顧客とのサービスに関する説明や依頼書などは、すべてiPad上で行われている。セールスに関する説明でも述べたが、スタッフは全員が、1人1台iPadを持って対応している。そのため、「パソコンがある席」にこだわることなく、色々な場所ですばやく顧客対応することができるようになっている。サービスに対する同意のサインも、iPad上に指やペンで書いてもらう形を採った。

そうした指示は、すべてバックエンドのシステムに蓄積される。そこからはコールセンターと連動し、顧客とサービス対応の予約が行うことになるが、ここは電話が活用される。とはいえ、コールセンター側での記録には、やはり紙は使われていない。

サービスの現場には、その日のサービス入庫予定と作業内容をまとめた「コントローラー」があるのが常。紙や黒板など様々な形が使われているが、蓄積された指示書から書き写す形であることに違いはない。ここでいかに適切なコントロールができるかが、サービススタッフのノウハウともいえる。

第一店の場合、バックエンドのシステムに連携されたディスプレイ(SMB:Services Management Board)があるだけだ。コントローラーは、ここに表示される。顧客とのアポイント時間も同様だ。

顧客がサービスを受けるために自動車で来店すれば、そのナンバーを店頭入り口のカメラが認識し、こちらにも「来店」として記録されるようになっている。アポイント時間になっても顧客が来ない場合には、コールセンターに情報が送られて、アポイントの再設定に回される。そこまでがシステム化・自動化されていて、特別な処理も紙書類の作成もなく進む。


◆「工具」も“つながる”…サービスの現場に「工場のカイゼン手法」

サービスを行う現場にも、タブレットを軸にした「カイゼン」の流れは繋がっている。各サービススタッフへの指示やパーツの調達にも紙はない。スタッフの手元にあるiPadに、すべての指示が表示される。作業開始時にはiPadをタッチしてスタートする。

サービス作業にとって重要なのは「確実さ」だ。これまでも作業時には、作業中に行ったことを逐次メモに残すのが一般的だった。だが、これには手間も手間もかかる。

そこで導入したのが、新しい「工具」である。タイヤの残り溝を計るノギスも、トルクレンチも「ネットワーク化」された。ノギスで溝を計ると、その数値がタブレットに転送される。トルクレンチも、設定した値まできちんと締めると、その情報がタブレットに転送される。書き写すのではなく、指定した作業内容に達したことが、自動的に工具側からネットワーク側に記録されるようになっているのだ。だから、作業内容を間違う可能性も減るし、やり残しも減る。

作業の効率化はそれだけに止まらない。高圧空気を伝送するためのホースの巻きを変え、レールがスムーズに動くようにしたり、手元を見なくても工具を作業台に設置できるよう、磁石で台にくっつくようにしたり……。それぞれの効率向上は、ほんの数秒・数十秒のものだ。だが、細かい部分まで徹底して洗い出し、工程を変えている。

「こんなところまで、と思うでしょうが、これは、製造工場なら当たり前のようにやっている『カイゼン』なんです。それをサービスやセールスの場までもってくる。そして、常にカイゼンを続ける。それが私たちの目指すことです」

トヨタ自動車・友山茂樹常務役員は、こうした行為の狙いをそう説明する。作業ストレスを減らし、間違いを減らし、効率を高めることが、最終的に、販売店としての効率化だけでなく、顧客満足度にもつながるはずだ、という発想なのである。

店舗内には、サービスの終了を待つ顧客がたくさんいる。そうした人々は、自由に使えるネットや映画などを、リラックスしながら楽しんでいる。だが、そうした時も、サービス現場と連携した「作業工程モニター」をすぐに見られるようになっているため、自分があとどのくらい待てばいいのか、今どんな順番なのかを把握できる。

作業側でも、作業の進行度内は「タブレットの画面の色」で把握できる。時間内で進行していれば青、時間が迫っていれば黄色、時間を越えていれば赤で表示される。作業を監督するマネージャーは、その色を見て、各スタッフの状況を把握し、作業の遅滞やトラブルの回避を最小限に抑えることができる。これもまた、工場では普通に行われている手法であるという。

サービス時期については、すべてe-CRBの顧客データベースに記録されている。オイル交換や定期整備などの時期が来ると、電話や携帯電話のメッセージ機能を使い、顧客にコミュニケーションを取る形になっている。

そうして入庫によるストック収入を増やしつつ、車のトラブルを防止し、顧客側の満足度の向上も狙う。そして当然、顧客満足度向上は、次のビジネスにつながる。サービスの効率化は、回り回って次の「新車販売」にもつながるという、バリューチェーンでの収益構造構築を確実なものにしようとしているわけだ。
《西田 宗千佳》

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