VWがワールドプレミアした『クロスブルー・クーペ』は、1月にデトロイトで披露した『クロスブルー』に続くSUVコンセプトの第2弾だ。前作が3列シートの6人乗りだったのに対し、今回のクロスブルー・クーペは全長を10cmほど縮めて2列5人乗りとしている。
車名を聞いて(あるいは写真を見て)、2011年東京モーターショーのプレスデーにだけ展示されたクロスクーペを思い出す人もいるだろう。スタイリングのイメージにも共通点がある。しかしクロスクーペは『ティグアン』ベースでもっとコンパクト。クロスブルー/同クーペはMQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)と呼ぶ新世代プラットホームを使い、全長5m弱、全幅2m強と大柄だ。
新型『ゴルフ』VIIですでに採用されているMQBは、『ポロ』から『パサート』までカバーできるという。そんなフレキシブルさを活かした大柄なサイズと言えそうだが、インテリアを手掛けたデザイナーは「ドア・ヒンジやステアリング・ポストの位置などMQBならではの制約も多いので、それを踏まえてデザインするのはけっして簡単ではない」と苦笑していた。
クロスブルー・クーペは前作クロスブルーより全高が54mm低い1679mm。それをより低く見せるため、ベルトライン直下からフロントフェンダーにシャープなラインを延ばしたのがエクステリアのひとつの特徴だ。ゴルフVIIにも同様のラインがあるが、ゴルフはシンプルな折れ線なのに対し、クロスブルー・クーペでは段差を付けることでシャープさを強調している。
その下にはドアハンドルを貫通するラインがあり、それが前方でUターンして上下2本のラインがリヤコンビランプまで延びる。これも前作にはなかったクロスブルー・クーペの特徴で、どうやら量産版にも採用されるようだ。
ドアハンドルを貫通するラインは、かなり深い段差を伴っている。「ラインの下をえぐって段差を付ける例は他社にもあるが、プレスが難しいからラインを丸めている」とVWブランドのデザインを統括するクラウス・ビショフ氏。「それでは精緻さが表現できないので、我々はシャープエッジと深い段差を両立したいと考えている。これからエンジニアと工場が苦労することになるね(笑)」
すでに量産設計が進んでいるようだ。量産版も北米向けは3列シート、それ以外の地域では2列シートがメインになるだろう。