【フォード フォーカス 試乗】パワフルなエンジンと操縦安定性に優れた足回り…松下宏

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フォード フォーカス
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フォード『フォーカス』の3代目モデルの輸入が始まった。新型フォーカスは、ワン・フォードのキャッチフレーズの下、世界中のフォードの開発部門が連携して、品質、環境性能、安全性、先進性などをテーマに開発が進められた。

フォーカスは世界に7か所あるフォードの工場で生産され、世界120か国で販売されるワールドカーで、日本へはタイの最新工場で生産したクルマが輸入される。タイ製なので、右ウインカー/左ワイパーの設定となるのはうれしい。

外観デザインはフォードがデザイン開発のテーマとするキネティックデザインを具現化したもの。立体感のあるプレスラインや台形のモチーフが採用されている。けっこうカッコ良いデザインだと思う。

特に真横から見たときのスタイルがカッコ良く、傾斜したAピラーと流れるようなルーフライン、リヤに向けて最後に跳ね上がるクロームのベルトラインなどによって、躍動感にあふれたデザインとされている。

インテリアも新鮮な感覚のデザインが採用されるとともに、ホールド性に優れたハーフレザーのスポーツシートを採用するなど、運転しようという気持ちにさせる空間が作られている。写真のカーボン調パネルはオプション設定のものだ。

ボディは従来のモデルに対して全幅が縮小された。2代目フォーカスは全幅が1840mmもあったのだが、今回は1810mmへと縮小された。もう少し頑張って1800mmになれば日本のユーザーには更にうれしいところだが、まあボディが小さくなったのは良いことだ。

搭載エンジンは直列4気筒2.0Lの自然吸気DOHCで、直噴仕様と吸排気可変バルブタイミング機構を備え、125kW/202N・mのパワー&トルクを発生する。けっこうパワフルなエンジンである。

実際に走らせた印象もかなり元気の良いエンジンで、このクラスとしてはやや軽めのフォーカスのボディを余裕で引っ張る実力を持つ。吹き上がりに少々物足りなさを感じるシーンもあったが、回したときのパワー感は上々だ。

トランスミッションはパワーシフトと呼ぶデュアルクラッチの6速ATで、ダイレクト感のある変速フィールを実現する。変速操作をしたいときには、シフトレバーに設けられたサムスイッチを親指で押して操作するのだが、これが何とも操作性が良くない。パドルの方が操作しやすい。

パワートレーン以上に好感を持てたのは足回りだ。新型フォーカスでは伊豆スカイラインのワインディングなどをとても軽快に走り抜けることができた。

今回のフォーカスではトルクベクタリング・コントロールが標準装備され、コーナリング時に左右の前輪に伝達されるトルクをコントロールすることで、グリップを確保してアンダーステアを解消してくれる。

コーナーでは確実に向きを変えて、ノーズが入り込んでいく感覚があり、安定感のある姿勢のままでコーナーを抜けていける。適度な手ごたえでダイレクト感のある電動パワーステアリングのフィールと合わせて、楽しくワインディングを走れるクルマだった。

ステアリングの操舵感についてはややキビキビ過ぎる印象を持ったシーンもあったが、全体として良くできた電動パワーステアリングとなっていた。ただし、ハンドルの切れ角は小さめで、最小回転半径が6.0mというのはさすがに大きすぎる。

17インチのミシュラン「プライマシーLC」を履いたフォーカスの乗り心地に不満はなく、静粛性もこのクラスのクルマとして上々のレベルにある。

安全性についても大きく進化したのが新型フォーカスの特徴で、ユーロNCAPで5つ星を獲得した安全ボディをベースにアドバンスとラックと呼ぶアクティブセーフティの総合制御システムや、アクティブ・シティ・ストップと呼ぶ追突軽減ブレーキなどが装備されている。

このように、進化した良い点がいろいろあると同時に、不満点もいくつか指摘できるのが新型フォーカスで、価格は293万円の設定だ。

この価格はボルボV40だとT4にセーフティパッケージなどのオプションを装着した仕様に匹敵する水準なので、V40に比べるとやや高めの印象。ただ、フォーカスの販売台数を考えると、この価格に抑えたのは、それなりに頑張った設定だと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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