DNAエコスは横浜ゴムが1998年に発表したECOタイヤDNAのコンセプトに基づくスタンダードタイヤ。
エコスの初期モデルであるES300は2001年2月に60~80サイズ、2002年2月に55サイズ以下のモデルを発売開始し、今までに3300万本の出荷実績を誇るという、超売れ筋商品。このDNAエコスがフルモデルチェンジをし、新たにES31として発売されることとなり、同社のプルービンググラウンドであるDパークで試乗会が開催された。
ユーザーがこうしたスタンダードタイヤに求める最大の性能は燃費のよさ。次いでブレーキ性能、乗り心地、濡れた路面での安定性などとなっている。もちろん、タイヤそのものの価格も重要視され、経済性がもっとも重視されるタイヤとなっている。
試乗時もこうした燃費のよさが感じられればいいのだが、それはちょっと無理だということで転がり抵抗の少なさを検証する実験を行い、試乗会参加者にはそれを公開してくれた。
試乗は高速周回路を使って行われた。周回路の入口には、荒れた路面が用意されシビアコンディションでの乗り心地チェックも可能だった。さすがにかなりきつい凹凸がある路面なので、快適とは言いがたい(どんなタイヤで試乗しても快適にはならないだろう)が、段差乗り越え時の衝撃の初期のバシッという感覚がパシッくらいの当たりの弱さになっているような感じを受けた。
高速周回路での試乗は自由にプログラムが組めるものだったので、加減速はもちろん、高速スラロームや高速コーナリングなども試した。全体を通して言えるのはハンドリングはかなりナチュラルだということ。ステアリングを切った量に対するクルマの動きがリニアで、余計に曲がったり、曲がってくれなかったりということもない。
また、反応速度についても適度でいい。Sタイヤのような過敏さもなければ、反応遅れもない。さらにステアリング中立付近の微小舵角に対する反応についても、上手に抑えこまれていて、しっかりした直進安定性と微小舵角による余分な動きの制御を実現。つまり、高速道路を走っているときに間違ってステアリングを動かしたときに急な挙動を起こさないようなセッティングで、安心感が高い。
そうした安定、安心を確保しつつも、高速スラロームや高速コーナリングではしっかりとした手応えを持っている。バンクがつけられたコーナーをあえてバンクを通らずに、ハードなコーナリングを行ってみたが安定感は高く、なおかつグリップの落ち込みもおだやかだ。
タイヤサイドに刻むブランドマークを凸文字ではなく、凹文字にすることで空気抵抗を減らす工夫まで行ったというから燃費に対する意気込みは相当のもの。トレッドアウトサイドの摩耗を抑える構造を採用することで、偏摩耗を防止しライフも伸ばしている。