横浜ゴムが第二世代アドバンスポーツとして発表したV105の試乗会が同社のプルービンググラウンドであるDパークで開催された。
アドバンスポーツは横浜ゴムのタイヤラインアップのなかで、スポーツ&ラグジュアリーというジャンルを担当するモデルでV103のフルモデルチェンジ版となる。
プレミアムスポーツタイヤというジャンルは静粛性や振動といった乗り心地関連からハンドリングやグリップといった走行性能まで、あらゆる性能を高いレベルにしなくてはならない、もっとも多くの性能を要求されるタイヤだ。今回の試乗も総合的な性能が確認できる高速周回路(一部に荒れた路面あり)と低ミューのウエット路面での試乗コースが用意されていた。
高速周回路の試乗ではまず100km/hでの直進性を検証するがまったくもって素晴らしいのひと言。ステアリングを軽く保持しながら、コース中央を走るとビシッと直進性が決まっている。そこから少しだけ舵角を与えると、ほとんど反応遅れをせずに車線変更が可能だ。速度を150km/hまでアップしても基本的な性格は変わらず、安定している。高速域での安定感はバツグンにいい。
静粛性や振動についても高成績だ。100km/hでの走行時と150km/hでの走行時で、パターンノイズなどに極端に大きな差がでないほか、悪い路面を走ってもタイヤに由来すると思われるノイズは少ない。タイヤノイズが少なくなった分、風切り音などが気になってしまう。
昨今のタイヤは静粛性と燃費性能については、夏タイヤであればどんなタイプのタイヤであっても、ある程度のレベル(それもかなり高いレベル)の性能が求められている。アドバンスポーツのようなプレミアムエコノミータイヤであってもそれは同じで、燃費性能の向上もはかられている。今回の試乗で燃費性能を試すことは不可能であったが、アクセルオフでギヤをニュートラルにした際の空走時の抵抗感は少なく感じられた。もっともこの点については比較試乗ができていないので、あくまでも感覚的なものでしかない。
通常、燃費性能を向上するためにタイヤの転がり抵抗を減らすと、グリップは落ちるものだが、それは技術によって克服されている。その技術とは、タイヤに対して負荷が小さいときはグリップする力を小さくして抵抗を減らし、タイヤに対する負荷が大きなときはグリップする力を大きくするというもの。つまり、加減速時やコーナリング時はグリップさせ、定常走行時や空走時はグリップを弱めるという考え方だ。
一方、ウエット路面では旧製品(アドバンスポーツV103)との比較試乗を行った。V103も十分にウエットグリップを確保しているが、V105はさらにその上を行く性能を持っていた。乗っていて楽なのは、滑り出しの感覚がつかみやすいこと。V103はタイヤが滑り出してからクルマの挙動によって滑ったことを感じるが、V105はステアリングに伝わる感覚で滑り出しを確認できた。