海上保安庁は、2012年の密輸・密航取締り状況を公表した。
同庁による2012年の薬物・銃器事犯の摘発件数は10件で、前年2件だった銃器はゼロで全て薬物の摘発だった。薬物は前年と比べて3件増えた。覚せい剤が2.99kg、大麻が0.0046kg、麻薬が3.5kg、指定薬物が29.02kgだった。前年と比べて、覚せい剤が減る一方で、指定薬物が多かった。
更に韓国人船員が金塊を無許可で密輸入した関税法違反事件を摘発した。
これまでの海上からの密輸事件は、覚醒剤に代表される規制薬物が主だったが、2012年は薬事法に指定された指定薬物や、金塊を密輸する事件を摘発しており、密輸するモノが多様化している。
また、同庁が摘発した船舶利用の不法出入国事件は7件と前年比5件増加した。不法入国者は21人、不法入国手引者が5人、不法出国者3人、不法出国手引者が2人だった。
最近の船舶による不法出入国事犯の手口は、過去多発したコンテナ内への潜伏、隠し部屋に大量の不法出入国者を隠匿する手法から、船員が密航の成功報酬を目的に、密航斡旋ブローカーから依頼を受け、貨物船や高速小型船に乗船させ、一度に数人程度を密航させる者が増えている。また、指紋整形や偽変造船員手帳などを利用し、他人へのなりすましなど、手法が変化しており、密航の手口が巧妙化している。
密輸や密航で得た収入は国際犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資などに利用されることから、同庁では密輸実行者や密航者本人だけでなく、背後の組織関係者についても摘発するため、国内外の取締機関との連携を強化し、密輸密航の水際阻止を図ると、している。