【ホンダ CR-Z 試乗】動力性能の向上と電池の変更でスポーティさを増した走り…松下宏

試乗記 国産車

『CR-Z』は2010年2月に“ハイブリッドはエコで終わるな”というキャッチフレーズとともに登場した。ただ、そうは言っても本格的なスポーツカーとは違うハイブリッド車であったのも確かである。

スポーツモードやECONモードなどが選択できたが、スポーティさとエコの間でどちらにも徹しきれない中途半端なイメージがあったのも否めない。

そのCR-Zが2012年9月のマイナーチェンジで明確にスポーティさを強める方向への改良を実施した。エンジンやモーターの動力性能を高め、電池をリチウムイオン電池に変更し、プラススポーツボタンを設定するなど、走りを強める方向へと様々な改良が加えられた。

エンジンの動力性能の向上は小幅なものだが、モーターは一気に10kWから15kWへと大幅な出力の向上が図られていて、より強いアシストを感じさせるようになった。電池がリチウムイオン電池に変わって電気の出し入れがスムーズになったことも好影響を与えている。

このリチウムイオン電池への変更は、普通ならマイナーチェンジでやるような改良ではない。初期モデルを買ったユーザーが悔しさを覚えるのではないかと思った。

CR-Zの走りが全体にスポーティさを増した中で、更にポイントとなるのがプラススポーツボタン。ステアリングホイールに設けられたS+と書かれたボタンを押すと、F1のオーバーテイクボタンのようにグンという感じの加速が得られる。

試乗会での説明では、V型6気筒3.0Lエンジン並みの加速ということだったが、体感的にはそれはちょっとばかり大げさな表現に思えた。でもはっきりした加速の違いがあるのは確かで、電池の残量によっても加速時間は変わるが、ボタンを押してアクセルを軽く踏み込むだけで、一時的にアクセルを全開にしたような力強い加速を示す。

ちょっとギミックな感じの装備ではあるものの、高速道路でクルージングから追い越しに移るときなど、実用的な便利さも得られるシステムである。CR-ZにはCVT車と6速MT車の両方に試乗したが、CVT車の方がS+ボタンの効果をはっきりと体感できた。

試乗車はCVT車には16インチのポテンザが、6速MT車には17インチのミシュランのパイロットスポーツ3が装着されていたが、どちらも乗り心地や操縦安定性が良くなっていた。デビューした当初のモデルは高速などでの直進安定性に物足りなさがあったが、今回のモデルではそうした不満は感じなかった。

マイナーチェンジを受けたCR-Zは、ハイブリッドスポーツとして改めて独自の世界を切り開いたモデルといえる。

今回のCR-Zにも後席ヘッドレストレイントが装備されていなかった。どうせ大人が座れる空間はないのだから、中途半端なシートを用意するより、いっそ2人乗りにしたら良いのにと思った。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。
《松下宏》

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