今年の配点はレンジローバー『イヴォーク』に10点を投じました。
その理由は…デザインの革命だからです。このクルマはSUVに属しますが、それは既存のカテゴリーに当てはめるからです。これまでの概念を取っ払えば、まったく新しくカテゴライズされることでしょう。つまり、メーカーはメディアの概念をすでに超えているのです。
それを証拠に、このクルマに似ているものを見たことがありません。フロントマスクからテールエンドまで、レンジローバーのDNAこそ含みますが、他社のナニかを思い起こすことなくデザインを成立させています。
新型車なのだから当然と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。デザイナーは常にライバル車や売れているクルマを横目で見ていますから、それらのナニかが注入されることも珍しくないのです。
その意味からもこのクルマは高く評価されるべきです。今後の自動車デザインに大きな影響を及ぼすのは間違いありません。
そう考えると、トヨタ『86』/スバル『BRZ』もマツダ『CX-5』もクルマのデキやコンセプトはいいのですが、新しさはいまひとつ。オールニューモデルとしてのセンセーショナルさが少々欠けているように思えました。
もちろん、イヴォークを高く評価したのはデザインだけではありません。レンジローバーという超プレミアムブランドでありながら、プライスレンジを低く設定しています。それに2リッターターボエンジンも省燃費に優れるECOユニットです。つまり総合的にバランスがいい。走りだって満足の範囲の仕上がりです。
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品に関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。