ミシュランのトラック用シングルタイヤ X One、軽量化と燃費改善を加速

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近年、欧米を中心に注目されている大型トラックやバスのシングルタイヤ化。2000年にミシュランが新世代トラック用シングルタイヤ『X One』を発表して以来、需要が高まっているという。日本でいち早く導入を決定した福岡県のアスファルト輸送業者レキウンに話を聞いた。

「安全装備や車両重量の増加により、従来の積載重量を確保することが困難になった」と語るのはレキウン代表取締役吉川信長氏。「ある程度の安全は金で買える」という吉川氏の信条の下、安全装備や環境負荷低減装備などを充実させたことで、結果的に車両重量が増加してしまった。

従来、車両総重量22トンに対し11トンの積載重量を確保していたが、近年ではそれが難しくなっていた。車両総重量は決まっているため、積載重量を増やすためには車両重量の軽量化が必要だった。

吉川氏はこれまで燃料タンクやホイールにアルミ製の物に変更したり、FRP製フェンダーを使用したりするなどして軽量化に努めてきたが、期待通りの効果は得られず、また、これ以上軽量化にも限界を感じていたという。

そこでレキウンでは2011年9月にシングルタイヤであるX Oneを導入、駆動軸をシングル化させた。これにより約160kgの大幅な軽量化に成功、従来通りの積載重量の確保に加えて、安全装備などをはじめとする運転環境の充実も両立させることができた。

シングルタイヤ導入は、燃費の向上という副産物も得た。北部九州を中心とした、比較的短距離での走行がメインの同社であるが、シングルタイヤ導入により約5.4%もの燃費向上効果が得られたという。

「いわゆる『低燃費タイヤ』と呼ばれるものを試したことはこれまでもあったが、目に見えて効果を実感できたことはなかった」と吉川氏は語るが、シングルタイヤの低燃費効果には満足した様子だ。これには日本ミシュランタイヤの担当者も「(シングルタイヤ化により)車体重量が軽量化されるため、ある程度の低燃費効果は予想できますが、これほどとは…」と驚きを隠せなかった。

その他、タイヤ本数が減るため、始業点検などのメンテナンス時間も半減したという。

シングルタイヤを積極的にアピールしているミシュランは、2000年のX One発売以来、当初の予定を大幅に上回るペースで世界販売100万本を達成した。日本ミシュランタイヤトラック/バスタイヤ事業部の島村敏成氏は、「X Oneは単にタイヤ経費を下げる製品ではなく、トラック全体の設計を見直し、物流業界に画期的なソリューションを提供する」と意気込む。

最後に吉川氏は「シングルタイヤが主流となる時代が来ると思っている」語る。レキウンでは、今後すべての車両にX Oneを導入する予定という。

《瓜生洋明》

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