マツダ CX-5 Boseサウンドシステム 試聴…エンジンノイズに負けない力強さ

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CX-5の「Boseサウンドシステム」は、XD L Packageに標準装備、20S、XDにオプション装着される
  • CX-5の「Boseサウンドシステム」は、XD L Packageに標準装備、20S、XDにオプション装着される
  • ディーラーオプションで装着されるアルパイン製HDDナビ(C9A4 V6 650)。Bose対応は26万円
  • ダッシュボード上にはセンタースピーカーを含め、左右に8cmネオジウム中高音用スピーカーを配置。
  • 23cm口径Ndウーファーを左右フロントドアにセットアップ。重低音再生の要がこのユニットだ
  • リアドア左右には13cm口径ネオジウムスピーカーが組み込まれている
  • Cピラーには、後方の広がり感を演出するのに重要な役割を果たす8cmネオジウム中高音用スピーカーを組み込む
  • ディーラーオプションに追加されたパイオニア製HDDナビ(C9P9 V6 650)。Bose対応は20万6000円
  • Bose対応で唯一のメモリーナビとして用意されたパイオニア製(C9P8 V6 650)。16万1800円

低価格で良質なディーゼルエンジン車として評価を上げているマツダ『CX-5』。SUV車として十分な室内空間を持つ中で、この広さを活かすオーディオシステムとして搭載されているのが「Boseサウンドシステム」だ。

◆DOPのヘッドユニットとのみ組み合わせ可能

Boseはシステムを車両の設計段階から車種ごとにインストールすることを前提としており、当然ながらCX-5でも同じ手法が用いられている。このCX-5では、フロントドア左右に組み込まれた23cm Bose Ndウーファーを含む9つのスピーカーをビルトイン。組み合わせるデジタルアンプは従来比で2/3まで小型化され、省スペース性とハイパフォーマンスを同時に実現しているのも特徴の一つだ。

スピーカーユニットは、フロントドア左右に強力な重低音が期待できる23cm口径のネオジウムウーファーを採用し、ダッシュボードには8cm口径スピーカーを3つ配置。後席は、リアドア左右に13cm口径ネオジウムスピーカーを、後部のCピラー裏側左右には8cm口径中高音域用ネオジウムスピーカーまで組み合わせる。

このシステムは新車注文時にのみオーダーできるメーカーオプション扱いとなるが、CX-5はシステム内容がちょっとユニークだ。メーカーオプションで注文できるのはあくまでアンプとスピーカーのシステムだけで、カーナビやオーディオ無しの、いわゆるオーディオレス状態で工場出荷されるのだ。かといって、市販されているカーナビやオーディオを組み合わせることはできない。

システムとして成立するにはディーラーオプションで用意される、専用カーナビを組み合わせる必要があるのだ。このカーナビにはBoseならではの『AUDIOPILOT2』がセットアップされ、走行ノイズ補償システムが機能する。つまり、「Boseサウンドシステム」の能力をフルに引き出すためには専用カーナビとの組み合わせが必須となるのだ。

◆DOPナビは3モデル

このディーラーオプションのカーナビは全3機種用意される。CX-5の発売当初はアルパイン製HDDナビのみが用意されていたが、その後パイオニア製のHDDナビとメモリーナビが仲間入り。もっとも高価なアルパインで26万円、パイオニアHDDナビで20万6000円、パイオニア・メモリーナビで16万1800円となり、それぞれに機能差を設けて対応するなど、Boseサウンドシステムが希望に応じて選べるようになったのは朗報と言えよう。

アルパイン製はソニー・ウォークマンの再生が出来たり、車種別のイコライザーを装備。パイオニア製ナビはいずれも携帯電話(BT-DUNに対応が条件。基本スマホは不可)を介してプローブ取得した渋滞情報をはじめ、駐車場満空情報などリアルタイム情報が得られる。ただ、パイオニア製メモリーナビは地図データを8GBとなるため、HDDナビに比べてガイド機能で見劣りがする。CDDBにも非対応だ。

試乗車に組み合わされていたのは、この中でソニー製ウォークマンの再生にも対応するもっとも上級なアルパイン製HDDナビ。この機種は市販されている7型モデル(X08等)をベースにしたもので、外観上で差異はほとんど見られない。モニター左上に「SOUND BY BOSE」と控えめに記されているのが異なるぐらいだ。ただ、X08に搭載されている5.1chサラウンド機能は省かれ、代わりに音質調整機能としてBoseならではの走行ノイズ補償システム「AUDIOPILOT2」が搭載される。

これは、車外から侵入してくる走行ノイズを車内マイクでモニターし、影響を受けた音域のみをリアルタイムで自動補正するというもの。「AUDIOPILOT2」へと進化したことにより、ノイズレベルだけでなく、速度情報も加えてより最適化された音量で音楽を楽しむことができるようになったのだ。とくにCX-5の場合はディーゼル搭載車が主力ともなっており、多少なりとも速度が上がるにつれて低周波ノイズは増えてくることから、そのメリットは大きい。

◆優れた定位感

そんなBoseサウンドシステムを試聴してまず感じるのが、優れた定位感だ。音像がフロントウィンドウにピタリと定まり、演奏がフロントウィンドウ越しに燃える風景と重なって聴こえてくる。ダッシュボードの上にはセンターを含む3つのスピーカーが配置され、これが自然な音場をもたらしているのは間違いない。低域の量感もたっぷりとしており、アクセルを踏み込んだ時のエンジンノイズにも負けないだけの力強さを感じさせる。

しかも速度が上がっていっても低域の印象はほとんど変わらない。ボリュームを上げなくても、中高域が目立ったりせず自然に音源を再生するのだ。何せ、低域に力強さを感じさせることで定評のある『Bose』のシステム、そのパワフルで聴き応えのあるサウンドは、ドライブするのがつい楽しくなってしまいそうになる。ソースによっては低域が強すぎると感じることもありそうだが、その場合は音質調整で低域を控えめに設定してあげればいい。

リアシートでの再生状況も良好だ。後席に座る前はCピラーのスピーカーによって音像が後方に引っ張られることを懸念していたが、この予想は見事に外れた。意外なほど前方で定位して再生を行っていたのだ。低域も十分に感じ取れ、残響を含んだ広がり感も感じ取れる。解像度はそれほど高いとは言えないが、このチューニングはなかなかのものだ。専用品ならではのコントロールが力を発揮したと言っていいだろう。

専用カーナビを別に購入する必要があるとはいえ、このパワフルなシステムを後付けすれば想像以上のコストがかかってしまう。惜しむらくはオーディオのセットではこのシステムが組み合わせられないこと。必ずカーナビを選ばなければならないのだ。とはいえ、カーナビの選択肢が増えた今、CX-5で良好なサウンド環境を望むならわずかなコストアップで手に入るこのシステムを入れて損はない。その先には必ずや満足いくドライブシーンが待っていることだろう。

《会田肇》

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