軽自動車の進化は、いったいどこまでいくのだろう。広くて使いやすい車の代名詞である『ワゴンR』。
ただ、このところの燃費競争では、天井が高くて車重があるのが仇となり、また、エンジン排気量の弱みからエンジンを回さないとトルクが出ないこともあってリッターカーに押され気味。しかしここへきて大逆襲である。
燃費のための軽量化が成功し、それがものすごい加速感を生んでいる。いや、そりゃ3リッタースポーツカーの加速とは違いますよ。いわゆる体感速度のことなのだが、これ、ノンターボですか?と、思わず聞き返してしまうくらいの軽快な乗り心地なのである。こんなに走ってくれたら、わざわざターボを選ぶ必要はないだろう。とはいえ、ワゴンR スティングレーのターボは、音&振動を抑える部材がきっちり入っていて、しかもハンドルのしっとり感もちゃんと作りこんであって、これはこれでその価値があるのだが。
燃費向上のために、減速エネルギーを取り込んだり、エアコンに細工したり、アイドリングストップを採用したり。アイドリングストップみたいな高価な技術、軽自動車に入れて採算は合うのかと要らぬ心配までしてしまうが、いや、これも、今後の量産効果を考えれば、このタイミングで導入すべしという判断なのだろう。それにしてもユーザーにはありがたくて仕方ない。ちなみにこのアイドリングストップ、時速13kmを切ると、とっととストップして燃費を稼いでくれる。でも、早く切れるから、停止するときノーズダイブでおじぎしないようにちょこっとブレーキを緩めると、エンジンが再始動してしまう。もういちど踏むとエンジンは止まるからいいけれど、この再始動って燃費にどう影響しているのか、節約女子には気になるところだ。
購入した節約女子のみなさんにおかれましては、再始動しないぎりぎりの線でのブレーキングを身につけ、節約に励んでいただきたい。いずれにしろ、ワゴンRの進化具合はハンパじゃないと最後に強調しておこう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。