『A1』がアウディの入門車となった今だが、もともとVWゴルフ相当のアウディとして登場したのが『A3』。日本で販売されている現行型はまだ2代目で、次期型は本国などですでに発表済み。ところが今、試乗してみてみると、このクルマの“こなれた乗り味”が捨てがたいと思えた。A1から乗り換えての試乗だったこともあり、クラス感の差はモデルレンジ以上で、少し前ならA4並のゆったり感といっていいほど。コンパクトカークラスを超えた室内空間が、気持ちを穏やかにしてくれる。低めに抑えられたインパネや、デザインに凝りすぎない身の回りの雰囲気も安心感がある。6ライトはアウディ車の流儀のひとつだが、スポーツバックはリヤクォーターウインドが大きめで、視界は明るく、後席の開放感も上々。何より3ドア(現在は廃版)より全長を伸ばしたおかげでラゲッジスペースは広く深いため、荷物を多く載せたいユーザーにはありがたいはず。試乗車はおなじみの、1.4リッターTFSI+7速Sトロニック(デュアルクラッチ)で、通常走行には十分だが、走行モードを「D」から「S」にすると、キレのいい動力性能を発揮する。S-lineは専用のサスペンションが入っているが、不当な硬さはなく、十分に実用として通用する。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。