「NAVIelite(ナビエリート)」は、アイシンAWが販売するカーナビアプリ。アイシンといえばオートマチックトランスミッションのイメージが強いが、多くの自動車メーカーに純正カーナビを供給する世界有数のカーナビメーカーでもある。
そのアイシンAWが高機能な純正カーナビのインターフェース、性能、使い心地をほとんど損なうことなく、スマートフォンアプリに作り替えたのがNAVIeliteだ。インプレ後編では、ルートガイダンスを中心のその使い勝手をレポートしたい。
ガイド機能は完成の域
ルートが決まったら出発だが、その後のガイド機能は完成の域に達している。交差点では拡大図が表示され、しかも不要なら即座にそれを消すことも可能。レーン表示も同様で、かゆいところに手が届く操作性だ。地図も見やすく、特にVICSによる渋滞情報の赤いライン飲みやすさは他のナビアプリと比較してももっとも分かりやすい。
ちなみに、地図表示は2Dと3Dが選べるだけでなく、それぞれ尺度の違う2画面表示も可能。3D表示の時は、地図をスクロールさせても3Dのままでスクロールする。さらに、3Dのまま縮尺を拡大していくと、建物の形まで再現される(NAVIeliteminiは全国詳細地図がないので除く)。表示方法の切り替えも簡単で、このあたりも非常に使い心地がいいと感じさせてくれる。
また、NAVIeliteはDoor to Door案内をセールスポイントとして掲げており、裏道にある目的地でも、その目的地を視認できる30m手前まで確実にガイドする。これもありがたさを実感することが多い機能だ。まだ目的地についていないのに「案内を終了します」の声にイライラさせられることもない。
◆地図更新の速さも特筆モノ
ここまでに書ききれなかったポイントをまとめて紹介しよう。まず特筆すべきは地図更新の速さだ。ナビアプリはどれでも通信機能によって地図が更新されるのが普通だが、じつはその内容には大きな差がある。
NAVIeliteは年に6回の地図更新を約束しており、実際、2ヶ月ごとに地図が新しくなる。しかも、新しい道路が開通してから地図に反映されるまでの期間が速い。ちょっと極端な例になるが、4月14日に新東名の三ヶ日JCT~御殿場JCTが開通したときは、そのわずか10日後に地図に反映された。このようにサラッと書いてしまうとピンと来ないかもしれないが、この「10日後」というのは驚異的だ。その他の道路でもたいていは1~3か月で反映される。これはほかのナビアプリと比較しても非常に速い。
豊富な設定についても触れておきたい。カーナビアプリに限らずスマートフォンのアプリは設定出来る内容が驚くほどシンプルなものが多いが、NAVIeliteは逆に数えきれないほどの設定項目がある。例えば地図表示の設定ひとつとっても、2D表示でフロントワイドにするかといったことから始まり、昼の地図色、夜の地図色を何色にするかといった項目があり、さらに3D表示の時に地図を傾ける角度まで細かく設定できる。あまりに設定が多いため、ユーザーカスタマイズとして設定の組み合わせを3種類も出保存できるようになっているほどだ。
◆長時間のダウンロードは改善して欲しい
今となっては少なくなった弱点についても報告しておこう。前述の徒歩ナビ、縦画面に非対応である点を別にすれば、現在もっとも不便を感じるのはデータのダウンロード時間だ。NAVIeliteは地図データをすべてiPhoneに保存する仕様となっており、ゆえに通信が繋がらなくてもVICS以外の機能は支障なく使えるというメリットもある。しかし、iPhone内に2GB、全国詳細図も含めると実に4GBものデータを保存する。
それだけならいいのだが、問題はこの2GB、もしくは4GBを2ヶ月ごとにダウンロードしなければならないことだ。この非常に時間がかかる作業を定期的にやらなければならないというのは、かなり苦痛に感じる。差分データだけをダウンロードしてiPhone内で結合させる、パソコンソフトでいうところの「パッチを当てる」といった方法での解決(いわゆる差分更新)をお願いしたい。iOSアプリの仕様という問題ということもあるのだろうが、これを解決すれば、現在の方向性としては完成の域に達すると思われる。