『プリウスPHV』においては満充電することの意義は薄い。走れば電力が減るだけのEVに対して、PHV(HVも)は走行中に減った電気をすぐに取り戻すことができるのである。
タイヤを駆動するトルクと蓄電に回す電気の量を案分する制御ぶりが精緻で舌を巻いてしまう。
モニターに「走行可能距離988km」と表示され、目を疑ったが、ガソリンがなくなるまでに超長距離を走ることができるのである。
プラグインハイブリッドというと、コンセントにコードを差し込んで充電するプロセスが必須のように思っていたが、その必要はまったくなかった。これなら、自宅や勤務先に充電する設備がなくても何の問題もない。
「プラグイン」と呼ばれるとコンセントとケーブルが必須のように感じられるが、使用して感じたプリウスPHVの特性は、“自ら電気を生み出してEV走行を実現するハイブリッドカー”という側面だ。
そう思うと、想像は膨らんでいく。プリウスPHVのコンピュータがさらに精緻化され、バッテリーに飛躍的な進化がもたらされて蓄電量が増え、航続距離が伸びれば、ガソリンの消費量は相対的に低減されていく。
もっと進めば、発電するのはエンジンである必要さえなくなってくる。
例えばボディに貼り付けたソーラーパネルで発電した電気をバッテリーに蓄えて走ることもできるようになるかもしれない。そんな想像というか妄想を掻き立てられた。
プリウスPHVはフューチャリスティックなクルマだ。旧来的な“ジドウシャ”はドライバーが主役だったが、プリウスPHVはコンピュータが主役である。
「2001年宇宙の旅」で宇宙船ディスカバリー号を制御するHAL9000のようなものだ。