【レクサス GS 開発ストーリー】スピンドル=糸巻きグリルは紡績のルーツを示したデザインなのか!?

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  • 1924年:無停止杼換(ひがえ)式豊田自動織機(G型)完成
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レクサスから発表された新型『GS』。このGSからレクサスのフロントフェイスが一新される。布石は2011年1月に発売された『CT』にあった。CTのスタイルをサイズの違うGSにどのように採用したのか。

デザイン本部レクサスデザイン部主幹の稲冨克彦さんは、「例えば、アウディはどのクラスも顔だけで見ると、立体の構成を変えないことがアイデンティティとしていますが、レクサスは、グラフィック的には同じに見えるものの、立体の作り方が全部違うのです。ぜひ今後の“スピンドルグリル”を楽しみにしてください」という。つまり、立体の造形は違うもののレクサスのフロントフェイスは全てスピンドルグリルになるのだ。

そして、このGSが突然変異といわせないように、CTでまず“スピンドル形状”として登場させ、そこから発展させこのGSから始まる“スピンドルグリル”となったのだ。稲冨さんは「これをまたさらに発展させていきます」とする。

GSからの採用については、「国内は(モデルサイクルが一巡し)新たにGSの番になったので、ジャンプアップが欲しかったということがあります。ただ、下のクルマ(CT)からアイデンティティを引き継ぐのはどうかなとは言われました」と笑うが、「CT(は新規投入車種)だからこそ自由にやれたのです。そこでユーザーの反応を見て“いいね”といってもらえたので、自分たちも自信を持ちました」。

さて、そのスピンドルとは紡績機の糸を巻き取る軸(紡錘)を意味する。トヨタのルーツを紐解くと豊田佐吉が創業した豊田自動織機製作所にたどり着く。つまり紡績である。伝統を打ち出す欧州車に対抗するためにレクサスのルーツをさかのぼったデザインかと勘繰りたくなるが、稲冨さんは笑いながら否定する。

「そんな安易な記事は書かせませんよ(笑)。もともと、逆台形のグリルはレクサスとしてずっとやってきました。これは、精悍な顔にしたいので、ヘッドランプよりグリルは下にある方がスポーティです。しかし、グリルが大きいのが高級車だというのをやめたかったので逆台形でした。その後、性能上ロワーグリルからは空気をいっぱい取り込みたいというのが出てきますので、そこもしっかりデザインした結果、下側は台形の形になったのです」と振り返る。

その傾向は『IS-F』あたりから徐々に表れ、CTで明確となった。「それを見た時にスピンドル、糸巻の形になっているねと話題になり、初めてスピンドルという言葉が出たのです」と説明した。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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