デンソーと言えばトヨタ系の電装部品メーカー。オルタネータやエアコンなどは輸入車も採用するほど、高品質で高性能であることは知られている。今回の東京モーターショー11でも、先進の安全装置や近未来のコックピットをブースで展開してくれた。
そんな中、気になったのがバイオ燃料の研究分野だ。
電装部品じゃない分野にも取り組んでいるのは、日本の生産力を維持するためでもある。バイオ燃料を藻から作り出すことによって、工場のCO2排出を抑えることができる。最近は円高が最大の障害になっているが、CO2の排出量削減も今後の生産拠点維持には重要な課題なのだ。
デンソーが微細藻類の光合成によるバイオ燃料化を研究し始めたのは2008年。「ガソリンを作る藻」などと話題になったから、ご存じかもしれないが、バイオ燃料はトウモロコシやサトウキビからだけでなく、藻からも作り出すことができるのだ。
「この藻シュードコリチスシスは自然由来のもので、15億年前から存在していたと言われています。それをさらに改良して、より効率を高める研究を続けているんです」とデンソー担当者。
まだ藻を培養池で培養しバイオ燃料にするには3週間くらいの期間がかかり、培養液からオイルを抽出し、そのオイルからバイオ燃料を精製するコストもかなりかかるため、出来上がった燃料はガソリンとは価格が一ケタ違うとか。しかし、オイルからバイオ燃料にする工程は効率アップを達成して、当初の10分の1のコストで出来るようになったそうだ。
しかもオイルを抽出した後の藻も固形燃料や肥料、飼料として使うことができる。エコで無駄ないシステムなのである。
「今後は光合成によって培養池の透明度が下がってしまうと、内部の藻まで太陽光が届かなくなってしまうので、生産性が落ちないように葉緑素の活性を抑えるような改良をしていく予定です」。現在でも葉緑素は働きすぎるぐらいなので、少し抑えた方が培養池を深くできるため、面積あたりの効率が高まるそうだ。
EVも燃料電池車も期待したいが、バイオ燃料によってエンジンのクルマに乗り続けられることも、我々としては嬉しい。是非ともガソリン並みの価格を実現してほしいものだ。