ゴルフの旧型モデルではハードトップカブリオレの『イオス』を設定していたが、今回のゴルフでは改めて幌タイプのカブリオレを設定してきた。カブリオレとしては4代目のモデルである。
名前はゴルフカブリオレだが、従来のモデルとはとは大きく変わった印象がある。変わった点のひとつはAピラーの傾斜を強めたシャープなデザインを採用したこと。
初代ゴルフでは直立に近いくらいにピラーが立っていて、それがモデルを重ねるごとにだんだんに傾斜を強めてきたのだが、今回のモデルでは一段と傾斜を強めている。
もうひとつはロールバーが廃止されたこと。これは大きな違いを感じさせる。横転時に瞬時に立ち上がるロールオーバープロテクションを装備したために必要がなくなったのだが、同時にゴルフカブリオレらしさが薄れた感もある。
ソフトトップの開閉に要する時間(片道)はわずか10秒ほどでとても早い。本革シートなどを採用したインテリアは標準のゴルフとは違った高い質感を備えている。フル4シーターのリヤシートは決して広くはないものの、大人が座れるだけの空間がある。
搭載エンジンは直噴エンジンにターボとスーパーチャージャーを装着する1.4リットルのTFSI。標準のゴルフに比べると重くて1470kgもあるカブリオレのボディを118kW/240N・mの実力で軽々と引っ張っていく。その走りはとても軽快かつスポーティなものだ。オープンボディの爽快感と合わせて楽しい走りを実現できる。
7速のDSGも低速時に多少のクセを感じさせることを除けば、基本的に文句のない変速フィールで、これも軽快な走りにつながっている。
ロールーバーを廃止したオープンボディなのに、剛性感を確保した走りをを示すのはさすがという感じ。古典的なオープンカーにありがちなやわな印象は全く感じられなかった。
安定感に優れた足回りも走りの気持ち良さにつながる要素。装着されていたミシュランのプライマシーHPは快適性や操縦安定性、燃費性能などのバランスに優れたタイヤだ。
価格は400万円をわずかに切る399万9000円。ゴルフカブリオレの登場に合わせてプジョーが価格を引き下げてきたので、特に安いというほどではないが、十分な競争力のある価格設定といえる。ただ、カーナビなどをオプション装着して諸費用を払うと総予算は500万円を超えることになる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。