【RISCON・SEECAT】「点の警備から面の警備へ」銃器対策部隊

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核セキュリティのセミナー(右から警察庁・大石吉彦警備課長、内閣府・吉野潤政策統括官、公共政策調査会・板橋功室長
  • 核セキュリティのセミナー(右から警察庁・大石吉彦警備課長、内閣府・吉野潤政策統括官、公共政策調査会・板橋功室長

福島第一原発の事故を経て、原子力発電所の警戒警備を行う銃器対策部隊の対応に変化が出ている。警察庁の大石吉彦警備課長は19日に開催された「テロ対策特殊装備展'11」のセミナーで、銃器対策部隊の増強を考えていることを明らかにした。

国内の原子力発電所には01年9月のアメリカ同時多発テロ以降、警察の銃器対策部隊が配備されている。原発事故後、警察庁は警戒警備要領を見直した。

「これまでの警備は、原子炉と原子炉建屋や原子炉を制御する中央制御室の悪意操作を防止することを主眼にしてきた。それはこれからも変わらないが、(福島原発事故では)原子炉冷却設備や電源設備の重要性が公知のものとなった。原子炉建屋と防護区域だけでなく、その範囲を拡充する、いわば点の警備から面の警備に移行することを考えている」

人員に留まらず、装備資機材の充実も図る予定だ。銃器対策部隊は、通常の機動隊の装備にない特殊装備を標準にする。連射のできるサブマシンガンや射程の長いライフル銃、耐爆、耐弾車両などだ。しかし、大石氏はこれでは不十分だったという。

「原発警備は外からの武装工作員等に対する迎撃や検挙が主眼だったので、こうした装備でやってきた。はっきり言って、原子力災害で、これほどの放射性物質が出るということをメインに資機材を整えてきたわけではない」

そして、新たに以下のような装備を上げた。

「今後は放射線が発散していることにも耐えられる防護服や車両。遠隔で放射線を測ることができる資機材を部隊に常備していくことを検討している。そうすることで仮に原子炉の異常が起きた場合でも被曝の危険性を排除しながら制圧、検挙を行っていく」

大石氏は周辺住民や国民への協力も求めた。

「テロリスト対策は、国民の協力が不可欠。警察が原子力発電所を守るというのも事前の情報、周辺の不振な状況など兆しから情報が入る。それを関係機関と共有しながら迎撃態勢を整えていくので、これからも情報収集に努めていくが、そうした兆しがあったときには情報をいただくことが不可欠なので、ぜひお願いしたい」

《中島みなみ》

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