[大人の夏休み]レーサーになる…懲りない連中

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アイドラーズ12時間耐久レース
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アルファロメオ江戸川としてのアイドラーズ12時間耐久レース参戦は2年目。同社はフィアット&アルファロメオの正規ディーラーだが、自然派生的にユーザー主体のレーシングチームであるAIOCが誕生したのは2005年のこと。

今年の12時間耐久レースは、昨年のアルファロメオ『145』からアルファロメオ『147』にレースカーをチェンジした。開発も早期に始め、本気でオーバーオールの上位入賞を狙う準備を整えつつあった。しかし、3月11日に彼らもある場所で震災に遭う。

ある場所とは、他でもないツインリンクもてぎだ。2011年の参戦準備計画のなかに、参戦予定のドライバー全員がもてぎのスポーツ走行ライセンスを取得して練習に励むことが盛り込まれていた。2月に1回、3月に2回、開発と練習のためにもてぎを訪れていたが、ピットのなかであの巨大地震に遭遇したのだという。スポーツ走行は急きょ赤旗中止となり、大混乱に陥った国道(高速道路は閉鎖)を使って数十時間後に帰京した。

6月半ばまで改修のためにツインリンクもてぎが閉鎖されていたため開発作業は遅延したが、12時間耐久レースの本番までに改修を終えて営業を再開した同サーキットで3回ほどテストを実施。メンバーのやる気と本気はピークを迎えていた。

アイドラーズ12時間耐久レースは、参加台数の多さからクラス分けをしたうえで予選をくじ引きで行う。AIOC・147は、あまりクジ運がよろしくなく65番グリッドからローリングスタートを切る。スタートドライバーは、アルファロメオ江戸川の社長でもありAIOCをサポートする染谷が担当。ちなみに染谷は過去に某JAF戦にも参戦していたモータースポーツマンでもある。

染谷が65位スタートから15位まで順位を上げて、3スティント目を中條が担当した頃には6位まで順位を上げていた。ところが4スティント目の高橋がドライビング中に黄旗追い越しのペナルティーを取られて5分間のピットストップを命じられ、順位は一気に23位まで後退する。そこから小杉が13位まで回復し、石川にバトンを託すものの、わずか6周で緊急ピットイン。原因はまさかのマフラー脱落だった。マフラーの修理後にコースへと戻ったときは26位だったが、石川が連続走行を重ねて15位まで挽回する。10スティント目の染谷が7位まで順位を引き上げたが、次のスティントを担当した本田の走行中になんとリヤハッチが突然開く不運に見舞われ、再びピットインを余儀なくされた。

18時20分頃、好事魔多しとはこの事かもしれない。AIOC・147のエンジンが突然、悲鳴をあげたのだ。アイドラーズ12時間レースの場合、コース内でストップした車両はツインリンクもてぎの回収車両でピットまで戻してくれる。修復が可能であれば、完走を目指すことも可能なのだ。しかし、AIOC・147の場合は手の施しようがなかった。オーバーヒートによるエンジンブローだったからだ。

染谷は、「Aさんに足りない部分はBさんが補えば良い。そうやって皆で支え合うから耐久レースは、今回のように完走出来なかったとしても楽しいのです。経験を積む事で進化するのが人間です。次は必ず上位のフィニッシュを目指しますよ」と笑う。チーム監督としてピットから戦略をオペレーションしていた村田も「結果だけを見れば“……”かもしれませんが、今年のアイドラーズ12時間耐久は、145で出走した昨年以上に収穫があったと思います」と、締めくくる。

元気なイタリア車でレースを楽しむ連中は、まったく懲りていない(文中敬称略)。

《編集部》

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