気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年3月10日付
●ガソリン急騰145円、中東情勢悪化、2年4カ月ぶり(読売・1面)
●営業利益1兆円、トヨタが目標、2015年(読売・2面)
●スズキ、水素使う燃料電池スクーター(読売・8面)
●大証と東工取 統合交渉、規模拡大し生き残り(朝日・1面)
●トヨタ新興国に照準、長期指針発表、取締役27→11人(朝日・12面)
●インド新車販売最多記録を更新(朝日・12面)
●帝人 試作車EVの骨格軽くて強く、炭素繊維使用(朝日・12面)
●日産労組と交渉5カ月分提示へ(産経・10面)
●一時金めぐり労使間平行線、トヨタ(東京・9面)
●トヨタ、海外の権限強化(日経・3面)
●新車販売、中国減速、2月減税打ち切り影響(日経・8面)
●カーオーディオなど中国に第二工場、三菱電機、(日経・13面)
ひとくちコメント
ホテルが事前に準備した250席の記者席がみるみるうちに満席。溢れた記者たちは慌てて用意した補助のイスに座るほどだった。トヨタ自動車の豊田章男社長が長期政権を視野に入れた「グローバルビジョン」を発表したが、東京・日本橋蛎殻町のロイヤルパークホテルで開かれた説明会の会場は300人を超える内外のメディア関係者が詰めかけた。
きょうの各紙にも「台数至上主義に決別」(毎日)、「取締役6割減、意思決定を迅速化、豊田社長」(産経)など、「グローバルビジョン」に関連した記事が際立つ。豊田社長は、この6月で社長就任3年目を迎えるが、就任早々、リーマンショック後の後始末に、想定外の大量のリコール騒動と、いきなり多くの試練に直面した。
今回の説明会でも「社会に役立つクルマをつくるという想いで困難を乗り越えてきた」と力説したが、今後もトヨタは「成長し続ける企業でありたい」との思いを内外にアピールしたかったようだ。
もっとも、筆者は今回の説明会を仕切る豊田社長自身がリコール問題が起きた1年前と比べても「ずいぶん成長した」との印象を強く受けた。その一例として、これまでの会見では、必ず広報担当の役員らを並び大名として同席させたが、今回は質疑応答を含めて説明会の約1時間をすべて豊田社長1人で“独演”し、会見後のぶら下がり取材も逃げ隠れもせずに長い間応じていたからだ。
しかも、ビジョンに綴られた「笑顔のために。期待を超えて」などのキャッチコピーは、夜中でも寝床などで思い浮かんだことを熱心にメモをとり続けた“集大成”という。
「社内の現場にはアポなしで突然視察することにしている」と豊田社長。新たな組織改正では社外からの耳の痛い話でも「真摯に聞き入れよう」と前向きにとらえる姿勢で、渉外・広報本部を豊田社長の直轄に置くという風通しを良くしたことも意味深い。