6日、東京都内唯一のパーキングチケットで駐車スペースを満車にして二輪車駐車整備の促進を訴えようというイベントが、表参道二輪車パーキングチケット(港区北青山3)で開催された。
設置された34台すべてを埋め尽くすことはできなかったが、呼びかけに応じたユーザーらが24台分を埋めた。駐車制限時間の1時間、約160mの道路隅がオートバイで埋まった。
また、専門誌や日本自動車工業会の広報誌など取材関係者が、その様子を見守り、一時は30人以上が歩道にあふれた。
「100円にしても、ほとんど利用率は変わらない」と、不正使用に目を光らせていた監視員も続々と集まってくる車両に「一度にこれだけ利用されるのは初めて」と、驚いていた。
バイク・ミーティングを呼びかけた雑誌編集者の山下剛さん(40)は「この結果を警視庁など関係団体に報告し、駐車場整備促進のきっかけにしたい」と話している。
パーキングチケットには、午後0時30分頃からユーザーが集まり始めた。
開催の告知はインターネット上で行われたため、参加者のほとんどがツイッターやソーシャルネットワークなどを通じて、開催の情報を得ていた。
埼玉県草加市からやってきた男性は、mixi仲間にイベントの存在を教えられて2人でやってきたという。
「大阪に住んでいた時、ちょっと買物をしようと思って離れたらステッカーを貼られてしまった。捕まらないようにパチンコ屋の前に止めたんですが、効果なかった」
バイク便のライダーも「今日は休日だけど、たまには寝てないで動いてみようかと思った。このパーキングチケットの近くには、集配のお客さんもいるので人ごとではない」と、話した。
50歳になったのをきっかけに再びバイクに乗り始めたリターンライダーの男性も、駐車場には困っていると訴える。
「子供が手を離れたから乗るようになったが、駐車する場所にはいつも困っている。せめて四輪車用の1割をバイク用にするというふうにしてくれたら、置き場所に困ることはないのだが」
ミーティングといっても、100円を払って駐車スペースに止めるだけ。ビラを配るわけでも、その場で歩行者に訴えるわけでもない。近くでお茶を飲むわけでもない。参加者の一人は、それでもこのイベントに参加した理由をこう語った。
「このパーキングチケットが使われていないから、バイクに駐車場は必要ないのだと思われるのが怖い」
警視庁は、全国初のパーキングチケットを設置するとき、そのスペースをわざわざ専用にした。四輪車と兼用にはしなかったのに、その利用方法は、四輪車用として考えられたルールを変えなかった。
パーキングチケットは、二輪車の利用実態に合っていないという声は根強い。存在感を示さないと、行政は動かない。
前述の山下さんは言う。
「これで終わりじゃない。近いうちに二回目のバイクミーティングをやる。その時は満車になることを願って」