VWなど3グループが過去最高を達成
2010年に500万台以上を販売した6企業・グループのランキングをまとめた。3年連続首位のトヨタ自動車から4位のルノー・日産自動車連合までの順位は09年と同じだったが、大躍進を続ける韓国のヒュンダイ自動車(傘下の起亜自動車含む)がフォードモーターを抜いて5位に浮上した。
そのヒュンダイを含む3グループは、中国をはじめとする新興諸国での販売増をテコに、過去最高の台数を達成した。新車市場の成長は、日米欧に代わって新興国が担う需要構造に転換しており、今後は新興市場での優劣が覇権争いの帰結につながる。
ヒュンダイのほか過去最高となったのはVW(フォルクスワーゲン)とルノー・日産(ロシアの「ラーダ」ブランド除く)。VWは700万台、ルノー・日産は600万台、ヒュンダイは500万台と、いずれも100万台単位の大台を塗り替えている。
ヒュンダイは一気に、前年から約110万台も伸ばした。これは今世紀初めから07年まで急成長したトヨタにも単年ではなかったペースだ。また、ルノー・日産では日産が前年比22%増の408万台と、初の400万台に到達している。
2010年の新車販売ランキング(500万台以上)
1位:トヨタ自動車 842万台(8)
2位:GM 838万台(12)
3位:VW 714万台(14)
4位:ルノー・日産 671万台(18)
5位:ヒュンダイ 573万台(24)
6位:フォードモーター 531万台(9)
カッコ内は前年比増加率%
◆今年も大台更新を狙うヒュンダイ
記録更新した企業のうちVWは中国で37%増の192万台、日産は36%増の102万台を販売した。日産は中国が米国を上回り、最大の販売先となった。
ヒュンダイは中国やインドでの販売増のみならず、市場の回復が遅れている米国でも22%増の89万台と大きく伸ばした。
欧州全域の実績ではトヨタを上回っており、通貨ウォン安を追い風に、全地域で猛威を振るった。同社は今年、前年を1割上回る633万台の販売を計画しており、連続して大台更新を狙う。
08年6月の経営破たんから短期間での立ち直りを見せるGM(ゼネラルモーターズ)は、中国での販売が29%増の235万台となり、日産同様に米国を上回った。首位のトヨタとは約4万台の差まで追い上げている。
◆まだピークを100万台下回るトヨタ、GM
ただ、GMとトヨタは937万台でほぼ並んだピークの07年からは、ともに100万台程度落ち込んだ水準だ。同年に3位につけていたフォードに至ってはピーク時から約130万台後退している。
さらに、10年の世界販売が5%増の356万台で、フォードに次ぐ7位となったホンダも377万台だった07年のレベルには回復していない。
これらの4社は08年まで世界最大の新車市場だった米国でトップ4を形成している。一方でこの4社は、新たな最大市場の中国で販売を伸ばしているものの、GMを除けば市場の伸びには追いついていない。
世界の需要構造が激変するなかで、そのスピードをキャッチアップする商品投入など十分な事業展開ができていないということである。巻き返しへの方策は明快であり、問われるのは着実な実行力だ。