これまでのセミAT「セレスピード」も、最新モデルで試すと初期型に対し、制御、変速マナーなど見違えるほど洗練された。それに対し新開発ツインクラッチ方式の「TCT」は、洗練されつつもアルファロメオらしい味も残した印象。
VWのDSGがよく出来たATのようなのに対し、あくまでMTであることを常に実感させてくれるというべきか。全体の制御は洗練されているも、変速時の節度(ショックではない)が実感できたり、シフトダウンさせればフォン!とエンジンが吹け上がる制御があったり……と、走らせる楽しみを味わわせてくれる。
もちろんdnaスイッチで「d」を選べば、1.4リットルターボエンジンの活きのよさが最大限に発揮され、ダイナミックな走りも堪能できる。要するにこれまでのMT車に対し、何も失っていないと思える出来栄えなのだ。
アイドリングストップは、再始動が現状よりさらに素早く実行されればなお可。乗車定員が初期型は4名だったが、最新型は5名に改められた点も見落とせない変更点。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。