福祉車両開発の取り組み…個人の移動手段として

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トヨタ自動車
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  • リフトのアームが樹脂でカバーされている
  • ウェルキャブ福祉タクシー仕様車(2002年)。アームの金属部品が露出している仕様としては最後期のもの
  • トヨタのリヤスロープ装備車は、すべてニールダウン機能をもつ。写真はラクティス
  • 後軸にエアサスペンションをもつ。縮めた状態。タイヤとホイールハウスとの間が小さい
  • 標準状態。タイヤとホイールハウスとの間が大きい
  • 車いす用のシートベルトを車外で着用することができる
  • ウェルキャブサイドアクセス車[脱着シート+専用車いす仕様]

自動車メーカーは福祉車両をそれぞれラインナップしている。

トヨタ自動車の福祉車両「ウェルキャプ」シリーズは「障がいを持つ方や高齢の方、すべての人の快適で素敵な暮らしをサポートする」車だ。ウェルキャブの開発コンセプトは近年、より快適な、感性中心なものに変化してきている。

日本の福祉車両の販売台数は、小型車規格で、2000年以降年間2万台強で推移しており、近年は景気動向に伴い漸減傾向にあり、2009年度は2万1925台だった。なおこの数はメーカーが設定している数で、アフターマーケットでの改造を含むと実数は増える。

トヨタ自動車商品開発本部トヨタ第三開発センターの岩田秀行チーフエンジニアは、ニーズの変化に伴いウェルキャブの開発コンセプトも変わってきたという。

「従来は、車は移動や介護の手段だった。福祉車両も道具としての機能中心の開発が行なわれていた。現在は、より快適な、感性中心の車作りになっている。介護される人はより快適に、介護する人はより楽に、車種も介護型に対し自立型が増えている」。端的に言うと、福祉車両の用途について、福祉施設への送迎が中心だったのが、個人の移動が増えつつあるということだ。

具体的に車の装備やデザインがどう変化したかというと、プライバーシガラスの採用、ソフトな専用サスペンションの設定、車いすリフトが実用本意で機械むき出しだったものが、術カバーを付けて見た目の“優しさ”を訴求するようになったことなどをあげられる。

介護される人・介護をする人、両方のニーズに同時に対応する工夫も最近の傾向だ。たとえば車いすを載せる『ラクティス・リヤスロープ車』で、助手席を折りたたみ式にして、子供用車いすの乗車位置を運転席に近づけ、運転席とのコミュニケーションを可能にした。

また『ポルテ・サイドアクセス』は助手席に車いすを載せるようになっているが、車のシートがそのまま車いすとなる着脱シートと、普通の車いすに近いデザインの専用車いすの両方を使えるようになっている。全車はロングドライブで車内での快適性を優先したもの、後者は車外での使い勝手を優先したものだ。

《高木啓》

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