4代目となった日産『セレナ』のインテリアデザインを担当したグローバルデザイン本部プロダクトデザイン部の山本年さんは、デザインするにあたり、お父さんをもっと大事にしようと思ったという。
「『エルグランド』のようにドライビングポジションを変えるわけにはいきませんでしたが、運転していて楽しくなるようなことが何かできないかなと思いました」。山本さんは新型『エルグランド』のインテリアデザインも担当している。
まずドライバーにちょっとした包まれ感を感じてもらうため、「センタークラスターのところをつまみだし、立体的に作り込んでいます。そこから左右に流れるようにすることで包まれ感を表現しています。エルグランドではこれを極端に仕上げました」という。山本さんは、「ここはお父さんの運転席なんだ、ということを演出してあげたかったのです」と話す。
また、メーターに関しては、「“海、そこに波があって…”という形のイメージで、クルーザーを操縦しているようなイメージの遊び心を表現しました」と笑う。もちろんそれだけではなく「メーターをステアリングの円弧に合わせてデザインし、かつ、ステアリングを避けながら、視界もスポイルしないようにと色々な思いを込めています」。
山本さんは、「ドアを開けてまずメーター周りのデザインで驚きがあって、座ってエンジンをかけると、デジタルメーターだとまたひとつ楽しみがある。そして、走り始めるといままでにない仕掛け(エコメーターやアイドルストップの時間が表示されるなど)がそこにあるのです」といい、「ドライバーが疎外されないよう、お父さんにとっても嬉しい形というか、嬉しい空間を表現しました」と、ドライバーも重視したデザインであることを強調した。