「鈴鹿サーキット内は主催団体のコントロール下にあり、大臣のプレゼンター登壇の決定が直前のタイミングであったことから、本件に関する取材の機会はございませんのでご了承ください」
F1日本GPのプレゼンターを国土交通大臣が務めることは「20年以上に及ぶ日本グランプリで初めて」と意気込んだ観光庁だったが、主要各紙に馬淵国交相が務めたという掲載はなかった。「大臣が行くこと自体にPR効果がある」(同上)というが、その効果が十分とは言い難い。
鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドの広報室は、「国土交通大臣がプレゼンターとなることで、モータースポーツを専門とするメディア以外の政治面や経済面で取材してもらえることを期待する」としたが、それも不発だったようだ。
観光庁の担当者は「参加決定がすでにF1ウィークに入った後で、大量の記者を受け入れることができなかったため」という。
日本グランプリを取材するプレスの多くはほぼ1年前からプレス登録をする専門スタッフだ。直前になって、そこに多くの専門外である記者を受け入れることは難しい。その厳しさを「これだけお付き合いして、ようやくわかった」(同上)という。
このハードルの高さはF1だけに限らない。10月1日から3日間開催されたMotoGP日本GP(ツインリンクもてぎ)でも、VIPの観戦申込み期限は過ぎたという理由で「民主党二輪車ユーザーを支援する議員連盟」国会議員の観戦が断念された。
レースイベントは年間スケジュールを決定しなければ始まらない。大臣や国会議員の予定は直前まで決まらない。両者のスケジュール感の違いは、最後まで埋まらなかった。
行政にとってモータースポーツは、いまだ遠い存在だ。観光庁担当者が「積み重ねが大事だと思う」というように、行政とモータースポーツの関係は、まだ始まったばかりだ。