【池原照雄の単眼複眼】鈴木会長の燃費向上策---20リットルで満タン?

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鈴木会長
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コンマ以下のグラム単位で軽量化追及

軽自動車の育ての親ともいえるスズキの鈴木修会長兼社長が、軽の経済的な乗り回し方を提案している。ガソリンを補給する際、満タンにせず10リットル程度にして実燃費を向上させようというものだ。鈴木会長は「軽の燃料タンクはもっと小さくていいのでは」とも指摘しており、同会長がこだわる車両軽量化の一環として、タンク容量を小さくした軽がやがて登場するかもしれない。

1979年の『アルト』、93年の『ワゴンR』と、鈴木会長は軽の需要を喚起する新しい発想のモデルを投入し、日本だけの規格である軽のマーケットを拡大させてきた。最近ではダイハツ工業にシェアトップの座を僅差で奪われているものの、スズキの開発力やコスト競争力は依然、同業他社が一目を置く存在だ。

軽や登録車のコンパクトカーを得意とする同社の開発では、コンマ以下のグラム単位で軽量化を吟味する。燃費性能の向上とともに、コスト削減に直結するからだ。鈴木会長は「ひとつの部品で1グラムずつ軽量化すれば、車両1台が2万点とすると20kgもの軽量化になる」というのが持論だ。

◆軽はチョイ乗りクルマに徹底すべき

9月18日に発売する主力小型車『スイフト』の新モデルでは、約10kgの軽量化を達成、燃費性能の改善などにつなげた。物体を動かすのに必要なエネルギーは、その質量に比例するので、クルマに当てはめると車両重量(質量)を小さくするほどエネルギーは少なくて済む。

つまり、同じ動力源や空力特性だと車両の軽量化に比例して確実に燃費は良くなる。ガソリン車の燃費改善は、エンジンや変速機などパワートレイン、さらに空力特性などさまざまにアプローチされているが、「一番効きやすいのは軽量化」(鈴木会長)という。

軽の未来像のひとつとして、鈴木会長は「ハイブリッドを取り付けて東京・大阪間を走るクルマじゃない。小型車(登録車)とは一線を画し、タウンカーというかチョイ乗りのクルマとして生きる道を探るべきじゃないか」と展望する。

◆ユーザーには10リットルで十分と提案

車両重量に影響するガソリンについては、同社の販売店を通じて「10リットル入れれば十分ですよと、お客様にお勧めするようにしている」という。確かに軽だと10リットルあれば200km近くは走れる燃費性能がある。

鈴木会長は「大き過ぎるガソリンタンク」にもホコ先を向ける。各社の軽の主力モデルはタンク容量が30~36リットルとなっており、40~45リットルが主流の小型車よりはひと回り小さいものの、満タンにすればほぼ子供1人分の重さだ。

「われわれがコツコツ軽量化するより、ガソリンを少なく積むほうが余程効果的」(鈴木会長)ではある。そのうち、20リットルで満タンという軽がスズキから登場するかもしれない。軽のリーディングカンパニーとして、そうした提案も面白い。

《池原照雄》

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