IZODインディカーシリーズは14日、2012年から採用する新型シャーシをダラーラ製にすると発表した。ダラーラはこれまでもインディカーのシャーシを供給してきた実績があるサプライヤーだ。
しかし、今回の発表で最も注目されるべきは、いかなるメーカーでもIRLの承認を受けさえすれば、上限価格7万ドルまででエアロパッケージを供給することが出来、チームは1シーズン2種類のエアロパーツを着せ替えることが出来るという斬新なコンセプトだ。
発表会場で「GM、フォード、フェラーリ、ロータス、ボーイング、ロッキード、そして技術があれば規模の大小に関係なく参入して欲しい」とのアナウンスが行われたように、単にシャーシのサプライヤーがダラーラに決定しただけではない。
呼称もエアロキットを付けない「ローリングシャーシ」の状態のものは「インディカー」。ここにはダラーラの名前はつかず、エアロキットのサプライヤーのネーミングが各々の車体につけられる。例えば、ダラーラが供給するキットをそのまま使えば「ダラーラ・インディカー」だが、チームペンスキーが製作したエアロキットを装填したマシンは「ペンスキー・インディカー」、GMが空力パーツを造れば「GMインディカー」、ボーイングが設計すれば「ボーイング・インディカー」という具合だ。
具体的には、ダラーラが一括して供給する「ローリングシャーシ」は、安全に関わるノーズピースを含めたモノコック部からサスペンション、ギアボックスといったメカニカルな部分まで。規定の条件さえ満たせば、いかなるメーカーでも供給できる「エアロパッケージ」は、空力に大きな影響を与えるフロントウィング、サイドポンツーン、エンジンカバー(カウル)そしてリアウィングだ。なお車体重量は1380ポンド(626kg)と従来よりも185ポンド(84kg)軽量化された。
またチーム間均衡を図るためにエアロパッケージの上限価格は7万ドルに設定された。チームは1シーズン2種類の承認済のエアロパッケージ使用が許される。もちろんダラーラ製の標準エアロキット(3万6000ドル)も用意され、同社の標準エアロキットを装着した完成車は、エンジンを含まない状態で38万5000ドル。既存のインディカーよりも45%も安くなっている。
もう一点、今回IRLが新レギュレーションの条件として掲げていたのはアメリカ国内での生産、そして地元雇用の拡大だ。
選出されたダラーラはシンディアナポリスモータースピードウェイの近くに新たな生産施設を設けるが、同時に州内のチームは、インディアナ州の雇用拡大事業に給付される援助を原資に、新シャーシの購入サポートとして最初の28台限定で15万ドルの割引も受けることが可能になった。
すでにIRLは6月2日に、2012年から採用するエンジンの新レギュレーションを、現在の自然吸気3.5リットルV8から改め、排気量の上限を2.4リットル、直列4気筒、もしくはV6にすることを発表しており、現行ではワンメイクでのエンジン供給を行っているホンダ以外のエンジンマニュファクチャラーズにも参入を呼び掛けている。
新型ダラーラ製シャーシをCGで紹介する動画