「ワールドカップ見たさにスト」フィアットCEOが激怒

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「ワールドカップ(W杯)見たさに工場従業員がストをした」として、フィアットのセルジオ・マルキオンネCEOが18日、怒りを露わにした。

マルキオンネCEOは、シチリア島テルミニ・イメレーゼ工場の従業員が14日に実施したストライキについて、「本当の目的は、サッカー・ワールドカップのイタリア代表試合を観戦したかったからだ」と発言した。そのうえで 「前例のない、信じられぬ事態」と非難し、「私たちの仕事を真面目にやろう。そうでなければ、フィアットは見放される」と警告した。

テルミニ・イメレーゼ工場は、イタリア政府による南部工業振興政策に基づき、1970年に操業開始した。マフィアと無縁の産業を地元に定着させることを目標としていた。

ただし、立地上部品供給が不便な上に、計画されていた新車積み出し港の建設が遅れたため、慢性的なコスト高が生じていた。今年初め発表されたデータによると、同工場で製造される乗用車は、他工場で生産するより約1000ユーロ(約11万円)コスト高という。

体調不良を理由に休暇をとる従業員の多さにも常に悩まされてきた。2007年6月には、猛暑のため従業員が作業を放棄して家に帰ってしまう事態も発生した。

そうした背景から2009年12月フィアットは、同工場で唯一の生産車である現行ランチア『イプシロン』が終了する2011年末以降は、乗用車生産の拠点としない計画を発表した。
直後からイタリア国内では、労働組合、政府を巻き込んで大きな議論が起き、今年1月には従業員10数名が工場棟の屋根を占拠する事件も起きた。

目下フィアットは、他の生産拠点であるポミリアーノ・ダルコ工場に関して、条件がまとまらない場合の工場閉鎖も視野に入れて関連労働組合と交渉中だ。

それに関してマルキオンネCEOは、現在ポーランド工場で生産しているフィアット『パンダ』に言及。「ポーランド製パンダは、かつてどのイタリア工場でも達成できなかった高品質を実現している」と評価した。

いっぽうで「もし、フィアットがイタリアを愛していなければ、この国での生産を増やすために過去200億ユーロもの投資を行なわなかっただろう」として、同社が生産拠点の国外移転のみを目指してきたのではないことも強調した。

加えて、イタリアは関連労働組合の数が多すぎて交渉がまとまらないことを指摘、「アメリカのように労働側の窓口を一本化すべき」とも発言するなど、W杯スト問題をきっかけに、南部2工場に関するマルキオンネ氏の不満が一気に爆発した。
《大矢アキオ》

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