シカゴオートショー(シカゴモーターショー)の会場でデルタウイング・レーシングの「インディカー・コンセプト」が発表された。2012年のニュー・インディカーとして提案されたのは、これまでに見たことのないフォルムを持つ、驚きのレーシングカーだった。
なんといっても度肝を抜く、これまでのレーシングカーの概念を覆すルックスだ。一見すると3輪のようだが細い前輪が左右についており、4つのタイヤが剥き出しの状態にあるので、かろうじて「オープンホイールカー」の定義を保ってはいる。しかし、その外観はまるでジェット戦闘機。斬新なフォルムは、これまで提案されたダラーラ、スウィフトのデザインですら保守的に見えてしまう程。
左右の前輪を極限まで狭めて配置し、フロント部分をコンパクトに収めることでCD値を現行の半分まで下げるとともに、重量も現行の約半分に軽減した。ドライバー自身の体重を含めても総重量は約1000ポンドと極限まで軽くなったことで、エンジンの排気量も半分で済み、完成状態での価格も約半分。さらに最高速度はIRLが求める235マイル以上を実現しながら燃費は100%向上(2倍)出来るとしている。
デルタウィングの代表ダン・パーテル氏は、「将来レースファンが目にするレーシングカーは全てこうなるだろう。これはレース業界の流れを変える画期的なものになるはずだ。もちろんIRLが提示した条件は全てクリアしている。自動車レースに若者層を取り込む起爆剤にしたいとの想いで作り上げた。」とコメントした。
ステージではCGによるサーキット走行VTRも流され、発表会場に登場した現役IRLドライバー達もなみなみならぬ関心を寄せている。昨年のIRLチャンピオン、ダリオ・フランキッティは「初めてリアエンジンやウィングを付けたフォーミュラ―カーが登場した時、なんて革新的なんだ、と皆が思ったものだけど、いまでは当たり前になっているよね。このマシンにも同じものを感じるよ」と語り、2003、2008年のIRLチャンピオン、スコット・ディクソンも「完成したら是非乗ってみたいね」と興味津々の様子。
同社は2010年8月までには、ターボチャージャー付き4気筒2.0リットルエンジンを搭載する走行可能なプロトタイプを完成させる予定。エンジン込みの完成車の価格は60万ドルを見込んでいる。
IRLの競技長ブライアン・バーンハートは「2012年のシャーシーの選考に関して、1社に限定するか複数混在とするかも含めて現時点での最終決定はまだだが、できるだけ早い段階で発表できるようにしたい」と話している。