信号待ちで止まっているとほんの少しだけシートバックに振動を感じる。新型はエンジンからバランサーシャフトを取り去った。バランサーシャフトは、エンジンからの振動を低減するためにクランクシャフトと逆回転で回して振動を打ち消す目的で装着されるモノ。これを取り去る目的はフリクションロスを少なくし、ピックアップと燃費を良くするため。例えば、ホンダのタイプR系エンジンにはもともとバランサーは装着されていない(『シビックタイプRユーロ』を除く)。振動より性能のスポーツ系なら理解できるけれども、居住性が重要なミニバンにこのような手法はどうよ、と試乗前のプレゼンテーションを聞いて思ったのだが、実際乗ってみると振動を感じるのは前述のレベル。それも集中しないと気付かないレベルのものだ。試乗後、技術者に聞けば振動や音を打ち消すボディ作りに苦心したという。室内も、リヤゲートや天井も含めて振動を相殺するために試行錯誤したらしい。そのせいか、走行音も含めてキャビンがとても静かになった。スペースや3列目シートの収納向上などあたりまえのように進化しているけれども、なによりホンダらしく軽快でよく走りよく曲がるミニバンである。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶 スローエイジングという独自の健康法で53歳の現役レーシングドライバー! SUPER GTをランボルギーニ『ガヤルド』で戦っている。INDY500 など海外レース経験も豊富で、確かな知識と国際感覚でクルマの評価を行う。2009-2010日本カーオブザイヤー選考委員。