BMWとBMWのチューニングを手がけるACシュニッツァーは28日、ドイツで開幕するエッセンモーターショーで『1シリーズクーペ』のポリスカー仕様を初公開する。
欧州最大のチューニングカーイベント、エッセンモーターショーは、ドイツで毎年開催。アメリカのSEMAショー、日本のオートサロンと並んで、世界3大チューニングカーショーに位置づけられる。
1シリーズクーペのポリスカー仕様は、実際に警察がパトロールに使用する車ではない。実はコレ、ドイツ政府とVDAT(ドイツチューニングカー協会)が共同で行う「合法チューニングPRキャンペーン」のために製作された1台なのだ。
エッセンモーターショーは2005年から「TUNE IT! SAFE!」と題したキャンペーンを展開。「違法チューニングは愛車を壊す可能性があるし、第一、交通安全上も危険なのでやめましょう」との趣旨だ。このキャンペーンをドイツ警察と連邦交通省が、全面的にバックアップしている。
このキャンペーンに賛同したドイツの有名チューナーが、毎年個性的なポリスカーを製作。05年はポルシェ『911ターボ』のテックアート仕様。06年はメルセデスベンツ『CLS55AMG』のブラバス仕様、07年はスマート『フォーツーカブリオ』のブラバス仕様とブラバスが続き、08年はフォルクスワーゲン『シロッコ』が、ポリスカーの素材に選ばれた。そして09年は、BMW1シリーズクーペである。
この1シリーズクーペはBMWが提供した「123dクーペ」をベースに、BMWのトップチューナーとして知られるACシュニッツァーがモディファイを担当。車名は『ACS1 2.3dクーペ』と名づけられた。
2.0リットル直4ターボディーゼルは、吸排気系やコンピューターの変更により、最大出力241ps、最大トルク48.9kgmを発生。これはベース車両と比較して、37ps、8.1kgmの上乗せだ。トランスミッションは6速AT。0-100km加速は6.7秒と0.4秒の短縮に成功している。
足回りはスポーツサスペンションを装着。車高は30mmローダウンされた。ACシュニッツァーの最新アルミホイール、「タイプIVバイカラー」が足元を引き締める。タイヤはキャンペーンのメインスポンサー、韓国のハンコック製がチョイスされた。
外観はフロントスポイラー、リアスカート&ウィング、ルーフスポイラーを追加。ドアミラーもスポーツタイプに交換する。ヘラ製のデイタイムランニングライトも装備した。
室内は、レザーバケットシート、アルミペダル、Gフォースメーターを採用。ダッシュボード、センターコンソール、ステアリングホイール、ドアハンドルには、シルバーのカーボンパネルがあしらわれる。
ACシュニッツァーのマネージングディレクター、Rainer Vogel氏は「合法チューニングは、我々のポリシーであり、使命でもある」と強調する。
それにしても、青いデカールにフラッシュライトを装備した1シリーズクーペは、本物のポリスカーと見間違えるほどの完成度。ドイツ警察公認でこんなカスタムカーを作ってしまうあたり、ドイツチューニング業界はシャレっ気がきいている。