GMは13日、米国ミシガン州フリント地区の4工場に総額2億3000万ドル(約207億円)以上を投資すると発表した。新型プラグインハイブリッド車のシボレー『ボルト』や新型コンパクトセダンのシボレー『クルーズ』のエンジン生産などに備える。
ミシガン州フリント地区の4工場とは、フリントエンジン南工場、フリントメタルセンター、フリントツール&ダイ、グランブランウェルドツールセンター。中でも最大の投資が行われるのが、フリントエンジン南工場だ。
同工場へは、全投資額の約88%に当たる2億0200万ドル(約182億円)を注入。シボレーボルトとクルーズ用の1.4リットル直4エンジンの生産準備に入る。
新型ボルトは、2010年後半から生産されるプラグインハイブリッド車。家庭用コンセントからも充電できるのが特徴だが、GMが「エクステンデッドレンジEV」と呼ぶように、基本はモーターのみで走行。エンジンを充電専用としている点が、同じハイブリッド車のトヨタ『プリウス』との最大の違いだ。
ボルトのモーターは最大出力150ps、最大トルク37.7kgmを発生し、最高速度は161km/h。2次電池は蓄電容量16kWhの大型リチウムイオンバッテリーで、充電時間は120Vコンセントで約8時間、240Vコンセントで約3時間である。
フル充電時の最大航続距離は40マイル(約64km)。バッテリー残量が少なくなると、発電用の1.4リットル直4エンジンが始動。ジェネレーターを回して、モーターに電力を供給するとともに、バッテリーを充電。その結果、航続可能距離は480km以上まで伸びる。「エクステンデッドレンジEV」という名前の由来は、エンジンを回すことで走行距離を延長する電気自動車、という意味が込められている。
一方、新型クルーズは2008年10月のパリモーターショーで初公開され、すでに欧州市場で販売中。GMのグローバル小型セダンに位置づけられ、米国へは2010年春に投入される。高効率の1.4リットル直4ターボを搭載し、米国EPA(環境保護局)高速燃費は14.88km/リットル以上になる見込みだ。
GMは4工場への投資により、500名以上の雇用を創出する計画。ボルトとクルーズの2台が、GM再生の命運を握るモデルとなる。