日産自動車は7月27日、マスコミ向けにEV(電気自動車)の試作車を公開した。EVの心臓部であるバッテリーは、日産とNECグループの合弁会社、オートモーティブエナジーサプライ(AESC)社が製造するリチウムイオン電池(LIB)だ。
AESCのLIBは、電池のプラス電極に低コストで安全性が高いとされるマンガン酸リチウムという材料を使っていることと、硬い外殻ではなくアルミをベースとした柔らかい外皮を使用したラミネート型という方式を採用しているのが特徴だ。新型EVのバッテリーセルはこのLIB4枚を1組として作られ、EVの床下に設置されるバッテリーパックは48セルを持つ。
日産はLIBのスペックを公開していないが、総電圧345ボルト、エネルギー容量24kWhという数値から、1セルあたりの電圧は約3.6ボルト、電力量は約120Whで、モジュール換算では14.4ボルト、480Wh。そのモジュールを24個ずつ直列接続したものを2系統並列接続——という構成であると推測される。
ラミネート型バッテリーは小型軽量化しやすく、冷却性が良好というのが大きなメリット。ただ、バッテリーパックの総重量は約300kgと、決して軽くはない。100kgあたり8kWhというバッテリーパックトータルのエネルギー密度は、マンガン酸リチウムではあるが角形のハードセルを使用する三菱のEV『i-MiEV(アイミーブ)』とほとんど変わらない。
ちなみにi-MiEVはLIBの安全マージンを相当に大きく見積もっており、バッテリーの実際の最大容量は定格の2倍の32kWhであると発表している。日産がマージンをどの程度取っているかはスペック非公開のため不明で、競争力も未知数である。いずれ仕様がオープンになれば、NEC-日産連合の技術的なポジショニングも次第に明らかになってくるだろう。