日立製作所は、シリコン(Si)にかわる次世代パワーデバイス用材料として注目される炭化珪素(SiC)を用いた3kV級の耐圧を持つダイオード「SiC-SBD」を開発し、最大3.3kVの耐圧を確認した。
同社は今回開発した3kV級のSiC-SBDを搭載したパワーモジュールを試作し、従来技術であるSi-pnダイオードを用いた場合と比べ、鉄道車両インバーターの電力変換損失を約3割低減できることを検証したとしている。
SiCは、パワーデバイス用材料として主流となっているSiと比較して、絶縁破壊電界強度が約10倍高く、高耐圧であることから、パワーデバイスの薄型化による導通時のオン抵抗低減が可能であるため、パワーデバイスの小型化や冷却系の簡素化が期待できる材料として注目されている。日立は、SiCの低損失なスイッチング特性に着目し、SiCの特性を最大限に活用するためのJBS構造による高耐圧ダイオード技術と電力変換損失の大きな要因であるターンオン損失、リカバリ損失を低減する高速駆動技術を開発した。
これにより、耐圧3kV級SiC-SBDを搭載した電力変換損失の低い鉄道車両インバーターを実現できるとしている。