「NGKイリジウムIXプラグブース」が、出展者の間で話題を呼んだ。イベントが始まると、まるでアイドル歌手のデビューのように、来場者といっしょに展示ブースが盛り上がっているのだ。
「NGKイリジウムIXプラグブース」はスパークプラグのトップシェアを握るNGK(名古屋市)の展示ブースだ。けして広いスペースではないが、イリジウムプラグなどの製品展示を押しのけるようにイベントステージが広がっている。
その中心にいるのは、NGKスパークプラグダンス部のメンバーだ。ダンス部は東京モーターサイクルショーを初めとする展示場やレース会場でPRをするために集められた。多くのコンパニオンが1年契約だが、彼女たちは3年、4年とPR活動を続けている。
「何も言わなくても、彼女たちがほとんど作ってくれます」と、展示の責任者である同社国内営業部中条繁広課長代理は言う。
来場者はスパークガールのパフォーマンスを黙って見ているわけにはいかない。彼女らのダンスパフォーマンスは、観客といっしょに踊ることだ。一通りダンス見せると、来場者に振り付けの指導をする。ビンゴゲームの時は、数字の代わりに呼び上げられるNGKのキーワードを、決めのポーズとともに「スパーク!」という掛け声をかけるのがお約束だ。
こうして文章にすると押しつけがましい感じをぬぐえないが、展示ブースにいると雰囲気はまるで違う。司会進行役のスパークガールが軽快な大阪弁を操り、見るだけに飽きた来場者を刺激する。イベントが始まったばかりの時は小さかった来場者の声が、終盤には近くを歩く来場者を振り向かせるほど大きくなる。
振り付けやポーズもスパークガールたちが考えている。彼女たちの気分でユニフォームから大きめのTシャツに着替え、リピーターも飽きさせない。イベントが彼女たちに任されいるから、来場者との距離が近い。
「事務局にはNGKさん音が大きいですと叱られることもあるのですが、みなさんが喜んでくださる声が瞬間的に大きくなっているだけ」(中条氏)
ショーの期間中は、スパークガールとスタッフが毎日、円陣を組んで気合いを入れる。10年前にこの仕事を任されたとき、中条氏は製品を見せるだけの展示から、参加型のイベントに切り替えた。元は電子部品の設計担当だった。
「彼女たちは長い間いるから、会社のことは全部覚えてくれている。我々は押さえてほしい決め事だけ伝えて、後はあなたたちで盛り上げてほしいというだけ。それで、お客さんにNGKのブースは楽しかったねと覚えてもえば、イリジウムプラグに変えるときに指名してもらうことができる」(中条氏)
シェアトップを守る努力が、こんなところにもある。