保守でいくか革新をとるか、主力車種のモデルチェンジには難しいテーマがつきものだ。アウディ『A4』の場合は、歴代モデルの進化過程を見る限り堅実にレベルアップしてきた。その一方で、好仕上げではあってもイメージがおとなしいと感じていたことも事実。ところが現行モデルでは一転。ドキッとさせられる迫力と色気のあるマスクと、テール(ヒップ)への流麗なボディライン、路面をしっかりとらえた重厚感と躍動感に、その気になればいつでも獲物を追いつめる余裕ある息づかいがイメージされた。これほどときめいたのは、正直、A4としては初めて。試乗会での事前の説明がもどかしく、とにかく早く乗りたいと思ったほど。となると、期待値が高いだけに、並みの走行フィールでは納得がいかなくなる。が、結論を先に言えばグッド。機能的でいて質感の高いインテリア回りや、乗り味の良さ、ノイズ面を含めた快適フィールにはプレミアム感があり、好感度が高まるばかり。FFの1.8リットル直噴ターボ+マルチトロニックやクワトロ4WDの3.2リットル直噴V6と、フィールに違いこそあれ、加速性、ハンドリング面で手応え十分、不足のないパフォーマンスを見せてくれる。注目すべきは、扱い方によっては優雅に、アグレッシブにではハイレスポンスに……、そしてうれしいのはドライバビリティに長けていること、これにつきる。つまり、現行モデルは最強最上のA4ということだ。■5つ星評価パッケージング:★★★★☆インテリア/居住性:★★★★☆パワーソース:★★★★☆フットワーク:★★★★☆オススメ度:★★★★☆☆は0.5横越光廣│モータージャーナリスト1967年にニ玄社『CAR GRAPHIC』編集部に入社。71年にフリーランスとなって、自動車雑誌、週刊誌、スポーツ紙などへ寄稿。88年に月刊誌『モーターレビュー』の創刊編集長に。その後はふたたびフリーの編集、ライターとして活動。おもな著書に『わが青春の名車たち』、『my car メカニズムとドライビング』、『1960's日本の名車たち』がある。
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