知らなければ先代と区別できないほどの現行『フィット』。あれほどの大ヒット作だけにイメージを変えなかったのだが、そのぶん第一印象の新鮮さは乏しい。しかし依然としてヒットチャートのトップを占めていることからもわかる通り、クルマとしての出来は超の付く優等生だ。もともと小型車としては異例に広かった室内はさらに拡大され、後席のアレンジによる多用途性にも磨きがかかっている。内装のグレードアップなどのため全体に静かになっただけでなく、走行感覚にも重厚さが増して、1クラス上の快適さも実現している。エンジンとCVTとの相性も抜群だ。一部には5速MTの車種もあり、カチカチ快いシフト感覚がスポーティだが、燃費はCVT仕様に及ばない。コーナリングの身軽さは、前席の下に燃料タンクを置く独特の設計の効果だが、瞬間的な運転操作に小気味よく反応する点だけは、先代の方が上だったかもしれない。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★オススメ度:★★★★★熊倉重春|モータージャーナリスト東京・焼け野原の戦後第一期生。25年間クルマ雑誌に勤めて何でもやったので、フリーのジャーナリストになった今でも何でもやる。いや、クルマのことなら何でも首を突っ込みたがる。