三菱自動車『ギャランフォルティス』の最上級グレードとして追加された「ラリーアート」。そのスタイリングはフォルティスというよりも『ランサーエボリューションX』に近く、パワートレインもランエボと同じタイプがディチューンされて搭載されている。
このラリーアートの価格は298万2000円と、ランエボXのSST車よりも76万円以上安く抑えられた設定だ。この価格差を考えればラリーアートが、非常にお買い得なクルマといえるのは間違いない。
ただし、ランエボが欲しいと思う人は、かなりの本格志向なハズ。たとえ76万円安くてもラリーアートの性能では満足しないだろう。そしてスポーティなセダンが欲しいと思う人にとっては、フォルティスラリーアートのスタイリングやパワートレインは少し過激すぎるに違いない。
つまり、ギャランフォルティスラリーアートのポジショニングは、やや中途半端な印象に感じてしまうのだ。コストパフォーマンスは非常に高く、走りの性能も申し分ないのだが、どうしてもランエボXの廉価モデルに見えてしまい、プレミアムスポーツセダンという感じが伝わりにくい。
これをランエボXやフォルティスには設定されていない欧州向けの5ドアハッチバックで設計すれば多少の差別化は図られたと思うが、現状ではランエボ風フォルティスといった感じなので、微妙なポジショニングのクルマに見えてしまう。
販売比率的にも三菱ではフォルティス全体の1 - 2割と見込んでいる。
しかし、こういったポジショニングのモデルはアメリカでは意外に人気があるらしく、ラリーアートも北米での展開が予定されているようだ。日本では微妙なポジショニングだが、実はアメリカの一部のマニアには響くパッケージングに仕上がっているのだ。
フォルティスラリーアートの本当の狙いは、北米市場にあるのかもしれない。