7速DSGのツイン乾式クラッチ…シェフラーグループ Luk

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7速DSGのツイン乾式クラッチ…シェフラーグループ Luk
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フォルクスワーゲン『ゴルフ』の自動変速機「7速DSG」には、欧州系自動車部品サプライヤー、シェフラーのグループ企業LuKによる「ツイン乾式クラッチ」が組み合わされる。従来の6速DSGのツイン湿式クラッチに比べ、つながる時のすべりが少なく、伝達効率がいっそう高くなるという。

伝達効率の高さという点では、DSGも通常のMTと同様、乾式クラッチがもっとも理想的とされていた。が、人間の手ではなく機械でATのように細かく変速制御を行なうDSGでは、耐久性、熱対策などが難しいことから、これまでATのギア間クラッチと同様、湿式多板クラッチが使用されてきた。

「クラッチの冷却を空気に頼る乾式クラッチをDSGで使えるようにするため、連続した坂道発進や変速が頻繁に行なわれる低速モードなど、クラッチに大きな負担がかかる環境下でどのように制御すればクラッチに熱を溜めないですむか、研究を重ねました」(LuK関係者)

耐熱性や耐摩耗性を向上させるうえで、BMW『M5』『M3』向けに乾式MTクラッチを設計した経験が役に立ったという。

「とくに役に立ったのは、5リットルV10の507ps/520Nmという入力を受け止めるツインクラッチの開発経験から得られたノウハウでした。あれがなかったら、開発はもっと難航していたかもしれません」(LuK関係者)

新型の7速DSGは、ツイン乾式クラッチの採用と変速ステップの細分化の相乗効果で、燃料消費量を旧型比で10%前後削減できるとアナウンスしている。

ちなみにVWゴルフ1.4リットルターボ+7速DSGの欧州でのCO2排出量は139g/km。ブルーモーションなど環境性能を大幅に強化した新世代モデルを除けば、ディーゼルと遜色ないCO2排出量の少なさである。

もっとも、乾式であるがゆえの制約もある。とくに大きな制約となるのは、許容トルクの小ささだ。クラッチ交換のインターバルを20 - 30万km程度に保つ場合、エンジントルクの上限は250Nm程度。現状ではツイン乾式クラッチトランスミッションに組み合わせることができるのは、2.4リットル自然吸気ガソリンや、小排気量・低過給圧のターボディーゼル、ターボガソリンに限られる。

大トルクエンジン用DSGには、今後も当面湿式多板クラッチが組み合わされることになるが、小排気量・低CO2モデルの環境性能のさらなる向上にツイン乾式クラッチが貢献するのは間違いないところだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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