大矢アキオ『喰いすぎ注意』…イタリア式自販機事情 タバコのはずが?

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大矢アキオ『喰いすぎ注意』…イタリア式自販機事情 タバコのはずが?
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セルフ給油機普及の背景

かくも少々つきあいにくいイタリア式自動販売機であるが、意外に日本より進んでいるジャンルもある。ずばり、ガソリンスタンドのセルフ給油機だ。おばあちゃんドライバーでも、巧みにこなしている。

背景には、スタンドの休みの多さがある。この国で多くのガソリンスタンドは土曜午後と日曜は、エリア内の当番給油所しか開いていない。さらにアウトストラーダのサービスエリアを除いて、毎日2時間ほど昼休みがある。

結果として、かなりの確率で給油機がセルフモードに切り替えられている。ドライバーはおのずと扱いに慣れるのである。

さらに最近は大都市を中心に「無人スーパー」というのがオープンして、ハムやサラミ、チーズなど生鮮食料品が入った自動販売機が活躍し始めている。

「こんなに広いグラスエリアで、割られたりしないのか?」という疑問が生じたところで、少し前に某見本市で無人スーパー用自販機が展示されていたのを発見した。価格は1台1万1000ユーロ(約184万円)らしい。製造しているのはイタリアのメーカーで、もともと無人ビデオレンタル機を手がけていたという。

ボクが疑問を投げかけると、スタッフは「このとおり」と言わんばかりに目の前で多層ガラスを何回も蹴ってみせた。

思わず1970年代の手品師・引田天功の脱出シリーズ番組を思いだし「天功さん、やめてー」と叫んでしまったボクであったが、イタリア自動販売機界もそれなりの世界を構築し、進歩しているということである。

いっぽう嘆かわしいのは、近年東京で、「調整中」「点検中」と書かれた自動販売機をよく見かけることだ。

とくに駅の切符販売機に多く、年を追って見かける頻度が高くなっている気がする。イタリアでは「故障」の張り紙は日常茶飯でも、「調整中」「点検中」というのは見たことがない。だからボクなどは思わず、「故障なら潔く故障と書けよ!」と声を上げたくなる。

背景には機器の老朽化やメインテナンス要員の不足などがあるのだろう。日本がイタリア化している。まあそれよりも、イタリアの自販機でタバコを買うときは、どうぞお間違えになりませんよう。


喰いすぎ注意

筆者:大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)---コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社『SUPER CG』記者を経て、96年からシエナ在住。イタリアに対するユニークな視点と親しみやすい筆致に、老若男女犬猫問わずファンがいる。NHK『ラジオ深夜便』のレポーターをはじめ、ラジオ・テレビでも活躍中。主な著書に『カンティーナを巡る冒険旅行』、『幸せのイタリア料理!』(以上光人社)、『Hotするイタリア』(二玄社)、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)がある。
《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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